2013 Fiscal Year Annual Research Report
常緑広葉樹林生態系における細根動態の高精度化に関する研究
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12F02215
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
佐藤 保 独立行政法人森林総合研究所, 森林植生研究領域, チーム長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRAN Do Van 独立行政法人森林総合研究所, 森林植生研究領域, 外国人特別研究員
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Keywords | 細根 / 分解率 / 生産量 / 照葉樹林 / 熱帯季節林 / ベトナム / 綾 |
Research Abstract |
細根は森林生態系において養分や水分の吸収を担っているだけではなく、炭素の動態にも大きな役割を巣たしている。一方でこれら重要性があるにもかかわらず、細根研究の多くは落葉広葉樹林や針葉樹林で行われている。本研究は、細根動態研究の言わば空白域でもある常緑広葉樹林を対象に、連続した試料採取を用いて細根の生産量を高精度に把握することを目的とする。 ベトナム北部の成熟した常緑広葉樹林(以下、成熟林)と焼き畑回復後の二次林(以下、二次林)で細根量の垂直分布を調べた結果、両林分ともに表層20cmまでに約8割の細根量が集中していた。細根の生産量、枯死量および分解量は、雨季(4月~9月)の方が乾季(10月~3月)よりも高い値を示し、季節により異なっていた。両林分の細根の分解率には有意な差は認められなかったが、枯死量と生産量では二次林で高い値を示す傾向があった。これは主に二次林では成長の早い先駆性樹種が優占することに起因すると考えられた。また、これらベトナム北部の結果と宮崎県の成熟した常緑広葉樹林にて同様の手法で測定した結果を比較すると、宮崎の細根生産量の方が高い傾向にあった。 細根生産量の推定手法の違いによる計算結果を比較したところ、サンプルコアを用いた連続採取法に比べて、イングロースコア法は低い推定値になることが分かった。この傾向は前年の試行段階でも得られた結果でもあるが、計測期間を増やしたことにより、これらの結果の信頼性が増したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本とベトナムの試験地において、当初の計画通りにイングロースコアおよびコアサンプルの試料回収も実施し、細根の生産量および枯死量の算出ができた。以上のことから当初の計画に対して、おおむね順調に進展していると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年である平成26年度も昨年度同様に、国内の常緑広葉樹林(宮崎県綾町)とベトナム北部の常緑広葉樹林にてイングロースコアの回収と小型スキャナによる細根伸長量の測定を継続して実施する。得られたデータを解析し、論文を作成して公表を目指す。
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Research Products
(4 results)