2013 Fiscal Year Annual Research Report
マダニ唾液腺分子の機能解明と病原体伝播に果たす役割
Project/Area Number |
12F02217
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
辻 尚利 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所・動物疾病対策センター生物学的製剤製造グループ, グループ長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANISUZZAMAN 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所・細菌・寄生虫研究領域, 外国人特別研究員
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Keywords | マダニ / 唾液腺 / ロンギスタチン |
Research Abstract |
マダニには個体レベルで展開される宿主体表への付着・血液消化・飽血などの吸血行動を支える器官として、唾液腺や中腸が重要な役割を果たしている。また、これら器官は、人獣の病原体を伝播するベクターとして、病原体の分化・増殖に深く関与することが見出されてきている。本研究では、国内最優占種マダニのフタトゲチマダニを用いて、唾液腺で産生される蛋白分解酵素とそのインヒビターに焦点をあて、これら生物活性分子の機能解明を通して得られるマダニ特有の機能・構造に立脚した抗マダニ薬及びバベシア症ワクチンなど、マダニの寄生とバベシア症に対する制圧技術を開発する。本年度は、昨年度に明らかにされたRAGE (receptor for advanced glycation end prodcuts, 終末糖化産物受容体)結合分子であるロンギスタチンの機能解明を引き続き行った。RAGEとカルシウム濃度依存的に競合結合するロンギスタチンを固着したヒト臍帯静脈内皮細胞. HUVEC (Human Umbilical Vein Endothelial Cells)は、可溶性RAGEによって有意に阻害されることが判明した。ロンギスタチンはNF-kB転移を阻害し、固着分子であるVCAM1、ICAM1及びeSelectinの発現を有意に上方制御することが分かった。さらに、ロンギスタチンは正常ヒト臍帯静脈内皮細胞におけるTNF-α、cox-2、IL-4発現を有意に下方制御することが分かった。また、腹腔常在性細胞の移動やマウスの足蹠浮腫及び肺炎モデルにおける炎症を阻害した。さらに、吸血中に宿主内に放出される内在性ロンギスタチンにはIL-5、TNF-α、Cox-2及びMCP-5の発現を有意に下方制御することも分かった。マダニが宿主に付着後1週間持続吸血できる仕組みにはロンギスタチンが重要な役割を果たしていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に明らかにされたin vitroで抗炎症作用を発揮するロンギスタチンが、本年度マウスモデルにおいて浮腫や肺炎を抑制することが分かり、生体内での役割を突き止めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
マダニの持続吸血にロンギスタチンが重要な役割をはたしていることが判明した。最終年度は引き続き、組織学的及び免疫学的機能解析を活用して、in vivoでのロンギスタチンの役割をさらに明らかにする。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Anisuzzaman, 三好 猛晴, 八田 岳士, 松林 誠, Khyrul Islam, Abdul Alim, 藤崎 幸蔵, 辻 尚利2013
Author(s)
Anisuzzaman, 三好 猛晴, 八田 岳士, 松林 誠, Khyrul Islam, Abdul Alim, 藤崎 幸蔵, 辻 尚利
Organizer
第11回分子寄生虫・マラリアフォーラム
Place of Presentation
長崎大学熱帯医学研究所(長崎県長崎市)
Year and Date
2013-10-03
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