2012 Fiscal Year Annual Research Report
言語処理システムの構造:日本語漢字研究からの新しい知見
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12F02315
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉岡 賀津雄 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RINUS Verdonschot 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 漢字 / データベース / 活性化 / 音韻処理 / 意味処理 / 意符 / 音符 / 眼球運動 |
Research Abstract |
平成24年度は、毎日新聞の2000年から2011年の新しいコーパスを使い,最新の形態素解析ソフトを駆使して,漢字の音・訓発音の比率,1つの漢字が漢字二字熟語を作る際のパターンを示すエントリピー,冗長度および対称性など多様な指標からなる新しい常用漢字表(2,136字)に合わせた漢字特性を示すデータベースを作成した。さらに、これをWeb上で検索できる検索エンジンを作成した。このサイトからは、選びたい漢字を基準にしたがい自動的に選択することができ、また漢字を入れるとその特性を漢字データベースから自動的に呼び出すことがでるようになっている(http://www.kanjidatabase.com/search.php)。これにより、世界のどこからでも漢字の特徴の検索と漢字刺激の選択ができるようになった。さらに、「一対多」の書字から音韻への活性化が起こることを証明した論文をQuarterly Journal of Experimental Psychology(2012)に掲載した。さらに、漢字一字から意味と音韻情報を取り出すのに、漢字全体からの活性化なのか、あるいは構成要素から情報を取り出しているのかを検討するために、意符と音符からなる漢字の音韻処理と意味処理の状況を眼球運動で測定する実験を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに漢字データベースを作成し、それをWeb上で公開して世界中どこからでもアクセスして情報が取得できるようにした。さらに、本年度の予定であった「一対多」の漢字とその発音群の関係について、同時活性化が行われているという証拠を示す論文を、国際的に学術レベルの高い学術誌に掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Web上で公開した漢字データベースを利用して、漢字処理実験のための刺激選択を行い、さまざまな実験を行う予定である。特に、漢字1字の構成部分の情報が、音韻・意味の情報入手にどのように利用されているかを行動実験で確かめていく予定である。さらに、行動実験では確かめられないようなより厳密な処理メカニズムの検討のために、脳波実験の準備も進めていく。
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Research Products
(8 results)