2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02328
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中嶋 隆 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FEDOROV Vladimir 京都大学, エネルギー理工学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | メタマテリアル / パルス伝搬 |
Research Abstract |
メタマテリアルとは波長よりも遙かに微小な構造を持った人工材料のことであり,光に対して自然界に存在する物質とは全く異なる応答をする。メタマテリアルの持つこの特異な性質は,定性的には光照射によって生じた局所電場および磁場により,入射光に対するメタマテリアル媒質の光学応答が通常の媒質とは大幅に異なる,と理解することができる。 これまでの研究で,我々は,メタマテリアル媒質中を超短レーザーパルスが空間伝搬した場合にパルス伝搬速度がパルスのチャープに依存するということを数値的に発見し,解析的手法によってその物理的起源を明らかにしたが,メタマテリアルと外(空気)との境界条件は考慮しなかった。 本年度の研究では,まず,電磁波の伝搬を記述する基本式であるマクスウェル方程式にまで立ち帰り,メタマテリアルが均一媒質であると仮定した上で必要な関係式の導出を試みた。すなわち,2つの異なる媒質が1つの界面を境として接している場合について,波数ベクトルが最も一般的な形,すなわち,複素ベクトルとなると仮定し,境界条件からその実部(位相ベクトル)と虚部(減衰ベクトル)の間の関係式を導出し,これら2つのベクトルの幾何学的関係を明らかにした。これにより,負の屈折率を持つメタマテリアル(negative index metamaterials)の重要な性質の1つとされている,「負の屈折」の物理的意味を明らかにした。さらには,1界面の場合をさらに拡張し,2界面の場合についても位相ベクトルと減衰ベクトルの幾何学的関係を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題は昨年10月に開始したが,すでに1篇の論文を執筆し,現在投稿しているところである。従って,おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は,メタマテリアルが均一であると仮定しているが,実際のメタマテリアルは層構造を持っており,均一と見なすことはできない。そこで,次のステップとして,メタマテリアルが不均一媒質であると言う現実を踏まえた上での研究を展開することが重要な方向の1つであると考えている。
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