2013 Fiscal Year Annual Research Report
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12F02330
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 一佳 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80251411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SETIAMARGA Davin 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 系統ゲノム解析 / 頭足類 / 生体鉱物 / オウムガイ / 貝殻タンパク質 / トランスクリプトーム / プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は、頭足類の進化を総合的に理解することである。目的を達成するためには、以下の二つのサブテーマで研究を進めて行く。 A. 頭足綱の系統ゲノム解析 まずその一つ目の課題は、全ゲノムデータを反映するとトランスクリプトームデータを用いて系統解析をする「系統ゲノム解析」を行うことで、頭足類の進化経緯を理解することである。その後、系統解析結果から得られるだろう頑健な系統樹と、化石情報や生物地理学的情報など地質学的情報を制約として用いて、分岐年代推定を行う。得られる年代と系統情報を、古環境情報や古気象情報に照らし合わせれば、頭足類の大分類群がどのようにして分岐し進化したかを探ることが出来ると期待される。 B. 頭足綱オウムガイ類の貝殻タンパク質の網羅的解析 核ゲノムデータがない分類群について、次世代シーケンサーを用いる全mRNA(トランスクリプトーム)配列を決定することが主な手法である系統ゲノム解析は、日本国内では初挑戦であるため、技術的な面においても様々な問題に直面する。そのため予備解析と言った意味もかねて、私たちはオウムガイの貝殻タンパク関連遺伝子の探索の研究を実行した。この研究では、トランスクリプトーム解析とプロテオム解析による行われた。研究の目的である現生頭足類の貝殻タンパク関連遺伝子の同定および軟体動物の貝殻タンパクの進化についての知見が得られることはもちろんだが、主な研究テーマである頭足類の系統ゲノム解析に二つの知見、意義を与えてくれた:(1)技術的意義:どのような次世代シーケンサーの機種を使えば良いか、得られる膨大なデータをどのようにして編集・管理するかなど;(2)オウムガイを深く読むことにより、参考に出来るゲノム情報がなくても、疑似参考データとして使える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
技術的問題:本研究は次世代シーケンサーを用いて全mRNAを決定することが最も重要な部分であるため、RNAの質が非常に大事である。しかしながら、サンプル採取の段階から保存まで、そして配列決定までの間のRNA質を維持することが難しく、一部のサンプルのRNA質が悪かった。また、どのような次世代シーケンサー(機種やテックニックなど)を用いるかについても、悩んでいた。 科学的問題:本研究の第2のサブテーマには、頭足類の中の系統関係及びその進化史(ディープ・ファイロジェニー、高次系統関係)を明らかにすることが最終目標である。そのため、タキソンサンプルの選定が大変重要である。当初の計画である10種のみのタキソンサンプリングだけでは、系統関係を明らかにすることが難しいと判断したため、タキソンサンプルの種数を増やす必要がある。そのため、サンプル採取に当初の計画よりも長い時間が必要になった。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプリング問題については、解決が出来た。国内外の共同研究者からの提供や、自分で採取することで、サンプリングについての問題は、解決出来、必要な重要種のサンプルの採取が出来た。そのため、より制度の高い系統樹が期待出来る。 技術的問題については、数名の専門家に相談し、そして実際事前研究にもなるオウムガイのバイオミネラル遺伝子解析についての研究で、どのようなものを使えば良いか解り、Illumina社HiSeqを用いて配列決定したが。現在、すべてのサンプルの配列決定が行われており、予定では5月末ぐらいにシーケンス決定が終了する。そこから、配列データのアッセンブルや編集などを行い、そして系統解析を行う。必要なバイオインフォマティックスパイプラインを、発表済みのツールを用いるか、必要な時に自分で作る予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] An in-silico survey for early development signaling molecule-coding genes in the pearl oyster Pinctada fucata2013
Author(s)
Setiamarga DHE*, Shimizu K, Kuroda J, Inamura K, Sato K, Hatori R, Ishikawa M, Ishio A, Isowa Y, Kaneko K, Maeda R, Matsumoto K, Nakano T, Sarashina I, Teruya S, Yamakawa T, Zhao R, Takeuchi T, Satoh N, Sasaki T, Matsuno K, Endo K
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Journal Title
Zool Sci
Volume: 30
Pages: 877-888
DOI
Peer Reviewed
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