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2013 Fiscal Year Annual Research Report

鉄触媒CH官能基化によるα-アリールカルボン酸類の合成

Research Project

Project/Area Number 12F02338
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

中村 正治  京都大学, 化学研究所, 教授

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) ADAK Laksmikanta  京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
Keywords有機合成 / 生理活性化合物 / 不斉合成 / エナンチオ選択的反応 / 鉄触媒
Research Abstract

資源・環境問題が注目される現在, 工業化学の基盤の一端を担う有機合成化学においても, 高効率かつ環境調和の高い合成反応の開発が求められている。鉄は, その普遍性, ならびに生体毒性と環境負荷の低さから実用触媒としての有用性が期待されるが, 精密有機合成分野での利用は立ち後れている。鉄を分子触媒として用いるには, その多様な酸化状態, 配位数およびスピン状態を緻密に制御する新たな方法論の開発が必要であり, 鉄を利用した高選択的な分子変換反応を開発し, 精密有機合成反応へ応用することは, 工業的にも, そして学術的にも, 重要な課題である。Adak博士は, 鉄触媒を用いた新規立体選択的な炭素一炭素結合生成反応の開発に従事し, 以下の成果を挙げている。(1)立体選択的なC-アリールグリコシド類の合成反応の開発 : 鉄触媒クロスカップリング反応の実用的な応用を目指し, ハロゲン化糖を出発原料とする同反応によるアリールC-グリコシドの合成手法を検討した。触媒量の鉄錯体, FeC12 (TMS-SciOPP)存在下, 塩化亜鉛-TMEDAと芳香族Grignard反応剤より調製した芳香族亜鉛反応剤とハロゲン化糖の効率的なクロスカップリング反応が進行することを明らかにした。従来C-アリールグリコシド類の合成に用いられてきたFriede1-Crafts型の置換反応では, 厳しい温度条件や, 酸または塩基に強い保護基を必要とすることが多いが, 本反応は単純なアセチル保護した種々の糖基質に穏和な条件下で芳香環を導入できる合成的に優れた手法を提供する。アリールC-グリコシド類は, 様々な生理活性を示すだけでなく酵素による分解に対し高い安定性を有し, このため, 2型糖尿病治療薬SGLT2阻害剤などの医薬品候補として注目を集めており, 鉄を触媒とする本手法は, 経済性および環境調和性に優れ, 工業的にも重要なアリールC-グリコシド類の合成法となることが期待できる。(2)エナンチオ選択的鉄触媒クロスカップリング反応の開発 : 触媒量の不斉配位子を用い, 光学的に純粋な化合物を合成する触媒的不斉合成反応は, 医薬品などのキラルな生理活性化合物の合成に重要な合成手法である。本研究では, 鎮痛剤や抗炎症剤などの医薬品に広く見られるαアリールカルボン酸, 特に, プロピオン酸類の触媒的不斉合成手法の開発を目指し, 不斉クロスカップリング反応および不斉CHアリール化反応の開発に取り組んでいる。Adak博士は, 上記不斉クロスカップリング反応の開発に携わり, 触媒量の鉄と光学活性リン配位子の存在下, 芳香族ホウ素反応剤などめ種々の有機金属反応剤とαクロロおよびプロモプロピオン酸エステルが, 高収率かつエナンチオ選択的にクロスカップリング反応を起こすことを明らかにした。安価でかつ環境負荷および生体毒性の低い鉄触媒を用いる同手法は, 工業的にも重要な手法となることが期待できる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初計画では鉄触媒カップリング反応による芳香族CH結合官能基化を最終目標にしている。現在, 鉄触媒に対して良好に働く不斉配位子を見出すことに成功しており, C-H結合活性化型反応へ応用する最終段階を迎えている。

Strategy for Future Research Activity

αハロプロピオン酸エステル基質として反応心活性の高いαプロモ化合物を基質として選び, 鉄触媒前駆体および光学活性ビスホスフィン配位子BenzP*存在下, 塩基として作用するビス(トリメチルシリルメチル)マグネシウムをベンゼン溶媒中作用させることで, 不斉CHアリール化反応の検討を行う。BenzP*の配位した低酸化状態の鉄活性種の生成と, アルキルラジカルの鉄上への再結合を鍵として, エナンチオ選択的なラジカル芳香環置換反応が進行するものと考えている。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Aryl C-Glycoside Synthesis Based on Iron-Catalyzed Cross-Coupling Reaction of Arylzinc Reagents2014

    • Author(s)
      L. Adak, S. Kawamura, G. Toma, H. Li, K. Isozaki, H. Takaya, T. K. M. Shing, M. Nakamura
    • Organizer
      TOCAT7 Kyoto 2014
    • Place of Presentation
      京都テルサ(京都)(発表確定)
    • Year and Date
      2014-06-03
  • [Presentation] Ary1 C-Glycoside Synthesis Based on Iron-Catalyzed-Cross Coupling Reaction of Arvlzinc Reaeents2014

    • Author(s)
      L. Adak, S. Kawamura, G. Toma, H. Li, T. Takenaka, K. Isozaki, H. Takaya, T. K. N. Shing, M Nakamura
    • Organizer
      日本化学会第94春季年会
    • Place of Presentation
      名古屋大学(名古屋)
    • Year and Date
      2014-03-28

URL: 

Published: 2015-07-15  

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