2012 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェン階層化ハイブリッド材料によるエネルギー変換・貯蔵デバイス
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12F02347
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NANJUANDAN A. 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 酸化グラフェン / グラフェンの機能化 / リチウムイオン電池 / グラフェンナノシート / 半導体ナノ結晶 / アミノ酸ポリマー・グラフェンハイブリッド材料 |
Research Abstract |
本研究は、グラフェンの化学修飾、および金属ナノ粒子や有機ナノ繊維の組み込みによる複合化を通じて、様々な機能化グラフェンを合成する方法を確立し、機能性デバイス材料への応用・展開を目指している。特に、スーパーキャパシタ(貯蔵)やリチウムイオン電池(変換)の性能を向上させるための新たな材料の開発を中心に進めている。本年度は、(1)グラフェンの簡易な還元方法の確立、および(2)酸化グラフェンへのポリマーの化学修飾やナノ構造体との複合化によるハイブリッド型ナノ材料の作製、のアプローチで検討を進めた。 具体的には、(1)酸化グラフェンの合成および還元:様々な形状のグラファイト、たとえばナノグラファイト(400nm)や人工黒鉛粉末(20μm以下)を、各種の酸を利用して酸化・剥離し、層間距離が大幅に増加(0.34nmから0.8nm)した酸化グラフェンを得た。得られた酸化グラフェンは、広い表面積を有しており、容易に機能化できることを確認した。また、合成した酸化グラフェンを金属還元法またはヒドラジン還元法により還元した。π-π共役の復元により大きい表面積を維持した状態で伝導性を向上させることに成功した。 (2)(1)アミノ酸ポリマー・グラフェンハイブリッド材料の作製:ポリアクリロイルβ-アラニンと酸化グラフェンからハイブリッド材料を作製した。ハイブリッド化によって、酸化グラフェンがポリマーマトリックス中に固定化されることを確認した。電極として使用した場合、グラフェンシートの層間で電解質の自由な移動が可能になると考えられることから、電極材料としての評価を行っている。 (2)半導体ナノ結晶との複合化によるハイブリッド材料の作製:マンガンをドープした硫化亜鉛量子ドットと酸化グラフェンを複合化し、ハイブリッド材料を作製した。現在、エネルギー変換用デバイスへの応用へ向けた評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、酸化グラフェンへのポリマーの化学修飾やナノ構造体との複合化によるハイブリッド型ナノ材料の作製、ならびにグラフェンの簡易な還元方法の確立を行い、想定内の結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大きな見直しはない。前年度に作製したグラフェンハイブリッド材料のスーパーコンデンサとしての性能を三極法により評価する。また、3次元ネットワーク構造をもつポリグラフェンの創成と有機ナノ繊維の組み込み、3次元構造をもつグラフェンのリチウムイオン電池の電極素材としての展開を目指し、ポリグラフェンの合成を試みる。さらに有機ナノ繊維を組み込み複合化による機能化を図る。加えて、ナノダイアモンドを層間に導入したグラフェンハイブリッド材料を作成し、電気化学的手法を用いて物性評価を行う。
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Research Products
(1 results)