2013 Fiscal Year Annual Research Report
両親媒性金属錯体の自己組織化による超分子ナノ界面の構築
Project/Area Number |
12F02349
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 九州大学, 大学院工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PRASENJIT Mahato 九州大学, 大学院工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | フォトン・アップコンバージョン / 配位高分子 / 多孔性金属錯体 / 再生可能エネルギー / 光物性 / エネルギーマイグレーション |
Research Abstract |
本研究では、多孔性金属錯体(metal-organic framework ; MOF}を基盤として、アクセプター部位を骨格内に精密に配置することで、三重項のマイグレーションとtriplet-triplet annihilation (TTA)が効率的に起こり、高効率なフォトン・アップコンバージョンを実現することを目的とした。このようなMOF骨格中でのアップコンバージョン発光はこれまで全く例がなく、本研究で初めて発現することを目指した。9,10-anthracene dibenzoate (adb)を鈴木カップリングにより合成し、この配位子を用いて水熱合成によりMOFを合成した。得られたMOFの微結晶をドナーの溶液に分散し、532nmの光を照射すると、青色のアップコンバージョン発光が明確に観測された。この青色発光はマイクロ秒スケールの長い発光寿命を示し、また発光強度の励起光強度依存において、励起光強度を増加させると二次から一次へと挙動が変化したことより、この発光がTTA過程を経たアップコンバージョンであることが示された。またこの二次から一次へと変化する励起光強度の閾値は数mW cm^<-2>であり、非常に低い値でアップコンバージョン発光が最適化できたことを示している。すなわち、MOFの骨格中でトリプレットエネルギーがマイグレーションすることによってアップコンバージョンを達成した。これはMOFを用いたアップコンバージョンの初めての例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回、金属錯体骨格を用いて初めてフォトン・アップコンバージョンを達成することができた。また、錯体骨格中でのエネルギーマイグレーションの定量化にも成功した。これらは錯体骨格材料の新たなポテンシャルを示すものであり、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
より細孔サイズの大きな多孔性金属錯体を合成し、細孔中にドナー分子を包摂することで、全固体型のアップコンバージョンの達成を目指す。
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