2013 Fiscal Year Annual Research Report
物理化学システムにおける自律運動と複雑さの起源の理解を目指して
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12F02351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池上 高志 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (10211715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VIRGO Nathaniel 東京大学, 総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生命の起源 / 化学反応ネットワーク / 進化 / 人工生命 / 自己触媒反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポスドクのNathaniel Virgo の研究テーマは、化学反応からみた生命の起源、進化の理論、環境の影響ということであり、これについて深く議論し大変有益であった。具体的には、彼が研究室に来日する前から一緒に共同研究していた、化学反応のシミュレーションを用いた「動く油滴」の進化的役割などについて議論し、それを発表した。また、エントロピー生成率増大化原理について議論をすすめ、MaxEnt2013で口頭発表した。より具体的には以下のような成果をあげることができた。 1)複雑な自己触媒ネットワークの進化:これは、熱力学的に可逆な性質を持ったペプチド重合反応システムのモデルを用いて、モノマーからどのように自己触媒ネットワークが進化するかをシミュレーション実験した。ここでは、そうした自己触媒ネットワークが出現する条件を数学的に調べ、またモノマー同志の重合を禁止することで、指数関数よりも高速に自己触媒システムが進化することを示した。 2)実際の化学実験を用いた自己触媒性の進化:東大総合文化の豊田太郎氏と、University of TrentoのMartin Hanczycの協力を得て、水酸化シアンの高分子を調べ、そこに自己触媒性が出現するかどうかを調べた。 3)大域的なフィードバックを用いた化学反応システムの性質:Grey Scottらによって最初に主張された化学反応システムの入ったリアクターのコンピュータ・シミュレーションを行なう。このリアクターに外から入ってくるエサとなる化学物質の量が内部の状態で変化するとき、どのような状態変化が起きるかを調べた。 4)エントロピー生成率最大化原理と情報理論:遠く平衡から離れたシステムの性質は、エントロピー生成率最大化を原理とするかもしれない。そのことを理論的にいろいろと考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シンガポールでのIEEEの国際会議で、日本にきてから議論した論文を口頭発表できたこと、またECAL2013やオーストラリアでのMaxEnt(エントロピー最大化に関する会議)では、さらにそれぞれ進めた研究に関し、口頭発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究課題を国際ジャーナルの方に投稿していくこと、また生命の起源問題に関する研究に着手する予定である。
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Research Products
(6 results)