2012 Fiscal Year Annual Research Report
固体材料の微小重力場における着火・消炎およびすす生成挙動に関する研究
Project/Area Number |
12F02360
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 修 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HU Longhua 北海道大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 固体燃焼 / 火災安全性 / 微小重力場 / 燃え広がり / 消炎限界 / すす / 輻射 / 落下塔 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に沿って、以下の2項目について実施した。 1.通常重力場における固体材料の消炎限界に関する検討 (1)実験試料の選定および実施項目の明確化 実験で用いる試料として、テフロン系難燃材料および比較的燃焼性の高いポリエチレン被覆電線について予備的燃焼試験を行い、実験の容易さ、燃焼生成ガスの実験装置への影響などから、ポリエチレン被覆電線を基本試料として選択することとした。実験変数としてはいくつかの予備試験を実施した結果、「電線の重力方向に対する傾き」を選択し、これが電線燃焼の消炎限界に及ぼす影響について検討を行うこととした。なお、平成24年度は外国人特別研究員の研究期間の都合により実施内容は実験装置構築が主であった。 (2)実験装置の準備 電線の燃え広がり実験装置は当該研究室に既存のものが有り、基本的にこれを流用する形で実験を実施する。しかし、重力方向に対する傾きを変数とするため、装置の傾きを制御する機構を構築し、予備的な実験を実施するに至った。 (3)予備的試験の結果 予備的試験として、試料を水平に設置した場合と、水平位置から15度傾けて(火炎進行方向の高さを高くした状態)燃え広がり試験を実施した。当初予想とは異なり、試料を傾けた方が消炎限界酸素濃度が高くなるという結果が得られた。 2.微小重力場における拡散火炎中すす生成特性検討 微小重力場では火炎中すす粒子濃度が大幅に増大することが知られている。これにより火炎からの周囲への輻射影響が大きく、火炎の延焼拡大を容易にする可能性がある。ここでは、宇宙船内酸素濃度が種々に変化することを想定して、酸素濃度がすす生成量に及ぼす影響を検討することとした。本年度は、実験装置構築のみを実施し、北海道赤平市にある50m落下塔に適合する実験の準備を進めた。この結果、平成25年度には落下塔を用いた実験が実施できる体制を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はほぼ順調に推移している。本年度は、外国人特別研究員の来日時期の関係で、研究期間が5ヶ月弱しかなく、当初より実験システムの構築が主な実施内容となるものと考えていた。実際には、これに加え、予備試験も実施することができ、ほぼ予定どおりの進展であったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は、今後も当初計画に沿って継続する。微小重力実験は、大学から離れた場所での実施となり、実験に向けた周到な準備と、実験時の安全に対する配慮が重要である。
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