2012 Fiscal Year Annual Research Report
河川音響トモグラフィー法による河川流速場と塩分場の同時連続的可視化
Project/Area Number |
12F02372
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川西 澄 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAZAZ Mahdi 広島大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 音響トモグラフィー / 塩水流動 / 河川流量 / 感潮河川 / インバース解析 |
Research Abstract |
潮汐による流況変化が激しい感潮河川の流動場と塩分場の同時連続観測システムの構築を目指し,本年度は英国ネプチューン社製の広帯域トランスデューサー(中心周波数25kHz,帯域幅16kHz)を購入して,河川音響トモグラフィー装置(FATS)を4台製作した.最初のステップとして,断面平均流速とともに流向が計測できるように,4つのトランスデューサーを両岸に配置し,クロス音線を形成して現地実験を実施した.現地実験は,潮汐により周期的に塩水楔が遡上し,流速場,塩分場が時々刻々と変化する太田川放水路で行った.具体的な実験の内容と主な結果は以下の通りである. 1.FATSによって計測された流速と流量の精度検証は,ADCPの移動観測結果と比較することにより行った.観測期間の大部分で,両者の流速・流向と流量は良く一致した.後述する理由により,密度成層が強く,トランスデューサーが塩水楔の上に位置する時間帯では,FATSで計測された流速は密度界面より上の低塩分層の平均流速に一致していた. 2.FATSの音線に沿って船外機付きのボートで移動しながら,CTDを用いて水温と塩分の鉛直分布を計測し,これらの分布から音速分布を求め,音線シミューレーションを行って音線分布を推定した.このシミューレーションで得られた音線分布から,FATSの深さ方向の計測領域を確認した結果,トランスデューサーが塩水楔の上に位置する時間帯では,音波が塩水楔の中に侵入できず,横断面全体を通過できない場合があることが明らかとなった.トランスデューサーの設置高さを低くして塩水楔の中にトランスデューサーが位置するようにすれば,音線が横断面全体を通過できることが音線シミューレーションから分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,4台の河川音響トモグラフィー装置(FATS)を製作し,周期的に塩水楔が遡上する非定常性の強い感潮河川で,クロス音線を用いて断面平均流速とともに流向の連続計測に成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は流速場と塩分場の2次元分布を連続計測するため,さらに2台のFATSを追加して河川を横断する音線を増やし,インバース解析を実施する.
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