2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12F02374
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HSIAO Po-Chien 京都大学, 防災研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 鋼構造 / 筋違い / 高強度鋼 / 崩壊 / 耐震設計 |
Research Abstract |
東日本大震災では、「想定外」という言葉が頻発した。想定外の地震に対する現実的な回答の一つは、「想定する力から崩壊までの余裕度(崩壊余裕度)」の定量化にある。建築鋼構造が最も多用される中低層建築物の崩壊までの余裕度は、通常よく用いられるラーメン構造ではなく筋違い付き骨組であるという知見があることを踏まえ、本研究では、筋違い付き骨組の設計と予備解析、筋違い付き骨組の崩壊余裕度に及ぼす筋違い性能の影響評価、新材料を用いた筋違いがもつ崩壊余裕度向上効果の評価、新材料を用いた筋違い性能評価のための構造実験、実践的設計規範の提案からなる研究計画に基づいて、筋違い付き骨組が崩壊余裕度に対してもつ力量の定量化をはかる。 本年度は、筋違い付き骨組の設計と予備解析と筋違い付き骨組の崩壊余裕度に及ぼす筋違い性能の影響評価に取り組むとともに、新材料を用いた筋違いがもつ崩壊余裕度向上効果に関する一連の検討に着手した。代表的な中層建築鋼構造を採り上げ、それを筋違い付き骨組とした設計、近年用いられるようになってきた座屈補剛筋違い付き骨組とした設計、わが国で用いられる柱と梁を剛接合とした筋違い付き骨組とした設計、を実施し、互いの構造形式が持つ耐震性の優劣を比較したさらに、筋違いによって期待できる崩壊余裕度を更に向上させるために、筋違いに超高強度鋼を用いる工夫を検討した。高強度筋違いは早期座屈によって耐震性能が劣ると一般に認識されているが、座屈による耐力劣化に対する不合理な過大評価、高強度がもつ弾性限界の上昇、断面のコンパクト化による幅厚比の減少等、高強度筋違いの効用を考慮しつつ、提案筋違いの性能予測を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、筋違い付き骨組は通常のラーメンに比べて耐震性能が優れている、という前提に立っている。本年度の研究から、筋違い付き骨組の塑性変形能力を決する最大の要素は、筋違いと周辺骨組との接合、具体的にはガセットプレートの柔性と変形追従能力であること、ガセットプレートが適切に設計されておれば、通常の筋違いと座屈補剛筋違いによる差は僅かであることが明らかになった。これは、本研究の前提が適切であることを保証する材料に他ならず、今後の研究展開に一層の希望をもたらしている。また新しい材料の適用においても、一対の溝形鋼からなる筋違いのうち、一方の溝形鋼に高強度鋼を他方に普通軟鋼を用いるというハイブリット筋違いを考案し、それによって断面のコンパクト化、全体の安定、高いエネルギー消費能力の確保が可能となることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の検討を踏まえ、高強度鋼を用いた筋違いが有する構造性能を定量化すべく、一連の構造実験に先立つ予備実験と、その結果を補強するための精緻な数値解析の構築に取り組む予定である
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