2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02374
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HSIAO Po-chien 京都大学, 防災研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 鋼構造 / 筋違い / 高強度鋼 / 崩壊 / 耐震設計 |
Research Abstract |
東日本大震災では、「想定外」という言葉が頻発した。想定外の地震に対する現実附な回答の一つは、「想定する力から崩壊までの余裕度(崩壊余裕度)」の定量化にある。本研究では、(1)筋違い付き骨組の設計と予備解析、(2)筋違い付き骨組の崩壊余裕度に及ぼす筋違い性能の影響評価、(3)新材料を用いた筋違いがもつ崩壊余裕度向上効果の評価、(4)新材料を用いた筋違い性能評価のための構造実験、(5)実践的設計規範の提案からなる研究計画に基づいて、筋違い付き骨組が崩壊余裕度に対してもつ力量の定量化をはかる。 本年度は、上記5課題のうち、(2)、(3)、(4)を実施した。(2)については、代表的な中層建築鋼構造を採り上げ、それを筋違い付き骨組とした場合、通常のラーメン構造とした場合、座屈補剛筋違い付き骨組とした場合等を対象に、漸増型時刻歴応答解析を実施した。筋違いを配することによって崩壊余裕度は確実に増すが、通常の筋違いと座屈補剛筋違いとの差が当初想定よりも小さいことが明かになった。 (3)については、新材料として高強度鋼を用いることの長所を活かしつつ、筋違い全体の安定とエネルギー消費の確保と崩壊余裕度の向上を図るため、高強度鋼と低降伏点鋼を併用したハイブリッド型筋違いを考案した。二つの溝形鋼をバッテンプレートで繋いだもので、両者の降伏点の違いによって生じる偏心が低降伏点鋼の塑性変形を助長する一方で、高強度鋼が大きな変位領域まで弾性を保つという特長をもっている。また初期偏心を与えることによってこの特長が更に活かせることも確認した。 (4)については、一連の筋違い要素実験から検討し、提案筋違いがもつ初期剛性、降伏後剛性、最大耐力、エネルギー消費能力と、これら特性に及ぼす初期偏心量と高強度鋼と低降伏点鋼の強度比の影響、を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高強度鋼と低降伏点鋼を併用したハイブリッド型筋違いについては、幸いにも実験結果は当初想定挙動を確実に再現した。またこの開発途中で、初期偏心を与えることによってより優れた履歴性能を示しうることが判明し、その有効性についても一連の実験から検証できた。また、筋違い付き骨組の崩壊余裕度に及ぼす筋違い性能の影響についても、当初想定にほぼ近い結果を数値解析によって検証できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
過去2年の検討結果を踏まえ、本研究の集大成として、筋違い付き骨組の耐震性能と崩壊余裕度の評価、新材料を用いた筋違いの挙動とそれによる耐震性能と崩壊余裕度の向上度に関連して、実践的設計規範の提案をめざす。
|
Research Products
(1 results)