2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズの耐湿性強化に寄与する二次通気組織の形成機構の解明
Project/Area Number |
12F02394
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中園 幹生 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QI Xiaohua 名古屋大学, 生命農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ダイズ / 二次通気組織 / 耐湿性 |
Research Abstract |
ダイズの耐湿性付与に重要な役割を果たす二次通気組織形成機構を解明することが本研究の目的である。ダイズの二次通気組織は、光存在下で湛水処理したときにのみ形成され、遮光や本葉の切除によりその形成が阻害されることから、光合成産物が二次通気組織形成に関与している可能性が考えられた。そこでダイズ幼植物体の上胚軸より上を切除し、切断面に糖を投与したところ二次通気組織形成能が回復した。これは、葉で合成された糖が胚軸における二次通気組織形成を制御しているということを示しており、糖が二次通気組織形成に関与しているという重要な結果である。 次に二次通気組織形成機構を明らかにするためには、湛水条件下の胚軸で糖がどのように二次通気組織形成を誘導しているかを明らかにする必要がある。葉で合成された糖は節管を通り、胚軸へと供給される。したがって、二次通気組織が形成される条件の胚軸の篩部で遺伝子発現が大きく変動することが予測された。そこで、二次通気組織が形成される明条件、形成されない暗条件でダイズ幼植物体に湛水処理を施し、胚軸のパラフィン包埋切片を作製した。胚軸のパラフィン包埋切片から篩部のみをLaser Microdissection(LM)法で単離し、RNAを抽出した。抽出したRNAの品質をバイオアナライザーにより解析し、マイクロアレイを行うために十分な品質と量であるか否かを確認した。現在までに既にマイクロアレイに使用するサンプル数の約7割程度の回収に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次通気組織形成に光合成産物である糖が関与していることを明らかにしたため、マイクロアレイによる遺伝子選抜の際に大きく役立つと考えられ、その成果は当初の計画以上に進展しているが、マイクロアレイを実施するまでにはいたっていないため、総合的にはおおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、LM法で回収した節部由来RNAを用いてマイクロアレイ解析を行う。また、湛水条件下の胚軸において水面下では二次通気組織が形成されるが、水面より上で形成されない。糖が二次通気組織形成に関与していることが明らかとなったが、水面上と水面下という点に関して糖がどのように関わっているかどうかが問題となる。今後は、マイクロアレイに、湛水処理を行ったダイズにおいて水面より上の胚軸をサンプルとして用いることを検討する必要がある。
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