2012 Fiscal Year Annual Research Report
サハラ以南アフリカ諸国における食料安全保障および栄養摂取と所得の関係決定要因
Project/Area Number |
12F02406
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南石 晃明 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OGUNDARI Kolawole 九州大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 食料安全保障 / カロリー摂取量 / タンパク質摂取 / 所得 / Co-integration / ARDL |
Research Abstract |
本研究では、西アフリカ諸国15力国を対象として、栄養摂取状況などの食料安全保障の水準の決定要因を定量的に解明することを目的としている。この研究目的を達成するために、長期間の国別マクロデータを用いて、以下の3つの具体的な研究項目を解明することを目的とする。 第1に、食料安全保障指標の決定要因をGMM(difference Generalized Method-of-Moments)の考え方に基づき、国別マクロデータを用いて計量経済学的に解明する。第2に、所得向上と栄養摂取の関係の因果関係を、panelco-integration modelを用いて、定量的に解明する。第3に、食料安全保障および栄養摂取に関する時系列的変動パターンおよび今後の傾向を計量経済学モデルにより推計し将来展望を行う。こうした分析は、西アフリカ諸国の経済協定を検討するに際して極めて重要な知見を与えるものであるが、こうした研究は従来ほとんどみられない。 本年度は、前述した第1および第2の目的を達成するために、まず、国別マクロデータを用いて食料安全保障指標の決定要因の計量経済学的解明のためのデータベースおよびモデルの構築、さらにこれらを用いた解析を行った。 具体的には、国際機関等提供のデータの購入、関連学会参加および関係機関インタビュー等により分析に用いるデータ収集・整理を体系的に行った。また、計量経済学的データ解析に用いる統計解析ソフトウエア等の試験適用を行い、さらに構築したデータセットを用いて計量経済学的解析を行った。その結果、食料安全保障指標としてカロリーやタンパク質の摂取量を用いた場合について、一人当たり所得等の経済変数との因果関係がCo-Integration Analysisによって解明された。また、トウモロコシの価格反応がARDL and Co-integration Analysesを用いて解明された。これらの研究成果を国内外の学会において発表すると共に、統計的分析によって得られた計算結果について既往研究から得られた知見も加えた総合的な考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り研究は進捗しており、研究目的第1および第2の成果として、現在までに2編の学会報告を行った。また、現在、下記の2編の学会誌論文を投稿・審査中であり、おおむね順調に進展している。(1)Ogundari, K and T. Nanseki. Co-Integration Analysis of Nutrient-Income Nexus in Nigeria: A note. Paper submitted to Central Bank of Nigeria's (CBN) Journal of Applied Statistics in 2013 (under first review), (2) Ogundari, K and T. Nanseki. Maize Supply Response to prices in Nigeria: Application of ARDL and Co-zntegration Analyses. Paper submitted to Agrekon in 2013 (under first review).
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、研究計画に従って、以下の点について解明を進める。 第1は、初年度から着手している国別マクロデータを用いた計量経済学的研究を本格化する。第2に、所得向上と栄養摂取の関係の因果関係を、panel co-integration mdelを用いて、定量的に解明することである。具体的には、bi-variate modelとして定式化し、栄養摂取状態としてはカロリーに加えてタンパク質などの栄養素にも着目して、過去50年間の15力国のマクロデータに基づいて、所得水準と栄養摂取量の長期的な因果関係を計量経済学的に検定する。第3に、食料安全保障および栄養摂取に関する時系列的変動パターンおよび今後の傾向を計量経済学モデルにより推計し将来展望を行う研究に着手する。
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