2012 Fiscal Year Annual Research Report
メコンデルタ湿地の生物多様性保全に向けたバイオバンクキングと地域ガバナンス
Project/Area Number |
12F02407
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢部 光保 九州大学, 農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUYNH KhaiViet 九州大学, 農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | バイオバンキング / 選択モデル / 生物多様性 / 生物多様性の保全 / 湿地 / メコンデルタ |
Research Abstract |
生物多様性の劣化に対応するため、地域及び国の政策担当者は、農業環境政策、野生生物管理計画あるいはバイオバンキング等、一連の政策措置を導入している。その場合、効率的な政策決定のためには、費用対効果を評価することが重要であるが、それら施策に関する費用の試算は比較的容易であるものの、便益の評価は困難である。そのため、生物多様性の価値を評価することは重要な研究課題となり、生物多様性の異なる特質に対して、一般市民が何に価値を見出しているかを経済学的手法で評価することにより、生物多様性保全政策の決定について、有益な支援対策が提案できる。他方、一般市民の生物多様性に対する意識やその意義に関する理解が低い場合には、便益の評価はより低くなり、政策の実行はより困難となる。 そこで、当研究では、選択モデルおよび共分散構造分析を用いて、適切な保全活動を導入するための市民及び農業者の生物多様性に対する価値を評価していく。さらに、重要かつ一般市民との関係の深い生物多様性の概念を定義し、これらを最も理解してもらいやすい表現方法で調査する。選択モデルでは、好ましい植物や哺乳動物の数、鳥および爬虫類類を含む生物多様性の属性を評価する。また、量的データにより生物多様性の生態学上の概念を評価することで、湿地保全と農業生産という対立関係を解決するために、費用便益分析のための有用な情報を提供する。 当研究の最終目的は、U Minh Thuong国立公園におけるバイオバンクを用いた保護計画の策定により、野生生物生息地を改善し、かつ生態系サービスの機能(例えばU Minh Thuong国立公園の二酸化炭素の吸収と隔離)を促進することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2012/11/29より2013/3/31の間に、以下の活動を行った。 ・生物多様性にかかる文献レビューの実施。 ・二次調査のデータ収集のため、研究エリア内の地方自治体の訪問した。 ・カントー市内農家との面談を目的としたグループと会合を行った。 ・生物多様性について調査経験のある環境専門家やカントー大学のスタッフとの議論し、彼らのアドバイスを取り入れたアンケート票を完成させた。 ・アンケートに基づく調査方法をインタビュアーに指導した。 ・カントー市およびキンヤン郡において、調査実施し、両地区で360件のアンケートを収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
・収集データの分析 ・より多くのデータ収集 ・会議への出席 ・国際的なジャーナルへの論文投稿
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Research Products
(4 results)