2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS/ES細胞を用いた高感度発達神経毒性試験
Project/Area Number |
12F02416
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大迫 誠一郎 東京大学, 大学院医学系研究科, 准教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAILENDRA Sarma 東京大学, 大学院医学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | ES細胞 / iPS細胞 / 毒性評価 / ヒト |
Research Abstract |
(研究目的)胚性幹細胞試験(EST)は欧州代替法評価センター(ECVAM)の定めた胎児毒性試験代替法のひとつとして使用されている。一方、新薬も含めた未知の新しい化学物質に対するヒトの感受性や個人差をヒトES/iPS細胞を用いた評価系で検証する試みが進んでいる。当研究室でもヒトの神経系発達毒性の試験系開発の戦略の一つとして、ヒトES/iPS細胞から成熟神経細胞を分化させる培養系を用いた発達神経毒性試験の開発を行っている。近年、マウスES細胞とヒトES細胞を類似の分化培養系で並列して試験することにより、代表的な発達神経毒性物質であるメチル水銀の作用が、ヒトの細胞で特徴的な様態を示すことを見出し報告した。しかし、我々が現状保持する培養システムでは評価法に迅速性、安定性の面で問題が多く更なる改良が必要である。そこでライブイメージングによるハイスループット系に持ち込むため、目的の細胞に特異的な分化マーカー遺伝子発現で標識される細胞株の作成を試みる。本研究では分化マーカー遺伝子(神経系細胞マーカーとしてMAP2とTH、肝細胞マーカーとしてALB)プロモーターでEGFPをドライブさせた複数のヒトES/iPS細胞を作成し、ヒト多能性幹細胞試験(Human Pluripotent Stem Cell Test Battery, hSTB)の構築を目的とする(計画調書にはhPCTBと記載したが略号変更)。 (進捗状況)(2013年4月~2014年3月 : 12ヶ月) 導入プラスミドベクターの検討と作成 : ヒトの3種の遺伝子(MAP2, TH, ALB)の適切なプロモーター配列をロングPCRで増幅した。TKミニマムプロモーターを含むルシフェラーゼベクターならびにEGFPベクターに接続した。ヒトES細胞にこのコンストラクトを遺伝子導入した。G418による耐性細胞株を樹立したが、ヒトES細胞で成功したものはラットTH遺伝子プロモーターのみであった。この細胞をクローン化し、神経系細胞分化培養に持ち込んだところEGFP陽性の神経突起を持った細胞が少数であるが発生した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1)導入プラスミドベクターの検討と作成は完了した。ヒトレチノプラストーマ細胞(SK-N-SH)、ヒト肝臓癌細胞(HepG2)への遺伝子導入(Mouse ALB-EGFP, Human /ALB-EGFP, Rat/TH-EGFP, Human/TH-EGFP)で、各々、強い発現が見られたことからコンストラクトは十分に機能すると考えられた。これらすべての細胞をヒトES細胞(KhES1)へLipofectamineLTXで遺伝子導入し、セレクションを実施したが、生存した細胞はラットTH遺伝子を連結したRat-TH-EGFPのみであった。当初の予定では複数の細胞株を得る予定であったが、大幅な遅れを生じることとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
作成した細胞(KHES1rTHEGFP)を用いて、ダイオキシンの曝露が及ぼすヒト神経系細胞分化レベルへの影響を解析する。残り時間が短いため、そのデータをもってヒト多能性幹細胞の毒性試験への応用とする。
|