2013 Fiscal Year Annual Research Report
1,3-ポリオール類の迅速合成を指向したC(sp3)-H活性化触媒の開発
Project/Area Number |
12F02417
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 求 東京大学, 大学院薬学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KYALO Stephen Kanyiva 東京大学, 大学院薬学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | C-H活性化 / 1,3-ポリオール / 触媒 / 配向基 / ケイ素化 / パラジウム |
Research Abstract |
1,3-ポリオール類は、医薬分子やポリケチド生物活性天然物に幅広く存在するキラルビルディングブロックであり、本プロジェクトは触媒開発を基盤としてこの新規合成法を確立することを目標とする。単純なアルコール分子を出発点として、水酸基に対して3位に位置するsp3 C-H 結合を酸化してC-O 結合に変換できれば、この触媒的C-H 酸化反応を繰り返すことで1,3-ポリオールが迅速に合成できるものと考えた。本研究が達成されれば、理想的かつ究極的な1,3-ポリオール合成法になりうる。実用的な触媒的不斉1,3-ポリオール合成法の開発により、医薬機能最適化のための合成法基盤の確立をおこない、分子供給の立場から医薬創出を促進する。 本年度は、アルコールより酸化状態の高いキノリルアミドを配向基として用いて、カルボニルのβ位sp2炭素をケイ素化する反応を開発した。酢酸パラジウム触媒を10 mol %用いて、炭酸銀と硫酸セシウムを共存させることでジシランをシリル化剤としたsp2C-Hケイ素化反応が基質一般性高く進行した。酢酸パラジウムによりConcerted Metallation Deprotonation、ジシランとのメタセシスによるシリルパラジウムの形成、還元的脱離による炭素―ケイ素結合の形成、炭酸銀による生じるO価パラジウムの酸化を経る活性な2価パラジウムの再生、の一連の工程により反応が進行しているものと想定された。本反応はグラムスケールでの実施が可能であり、また配向基の除去も可能であった。さらにジゲルマンをジシランの代わりに用いることで、世界初のC-Hゲルミル化反応への応用も可能であった。また、予備的ではあるが、反応系にDMFを添加剤として加えることで、非常に困難なsp3C-Hのシリル化にも成功した。 本知見を活かして、来年度は玉尾酸化により水酸基に変換可能なシリル化剤を用いたC-hケイ素化反応を検討して行く予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1,3-ポリオール合成にはまだ酸化還元状態の変換が必要であるが、不活性なC-H結合を活性化して水酸基に変換しうる基盤反応を開発できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1,3ーポリオール合成に展開しうるsp3CーH結合のケイ素化に重点を置く。またケイ素化剤としても玉尾酸化により水酸基に変換出来うるものを使う。
|
Research Products
(3 results)