2012 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンによるカリウムチャネル発現調節機構の解明
Project/Area Number |
12F02419
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今泉 祐治 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AZIZIEH Regis 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 薬理 / イオンチャネル / Ca2+活性化K+チャネル / 男性ホルモン / 翻訳後修飾 / ユビキチンプロテアソーム / 精管平滑筋 / 扁桃体 |
Research Abstract |
中枢神経扁桃体において男性ホルモン受容体刺激により大コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+(BK)チャネルの機能発現が増大すると言う知見を得た(BBRC2009)。さらに去勢マウスや前立腺がん治療薬のアンドロゲン受容体拮抗薬の投与により、オスマウス扁桃体や輸精管でのBKチャネル発現低下を発見した。また新たな前立腺肥大モデルラットにおいて、間質系細胞の増殖に中コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+(IK)チャネルの賦活化が寄与していることを解明した(JPET,2011)。これらの結果から、男性ホルモン受容体活性化によるCa2+活性化Kチャネルの発現調節は、中枢・末梢器官における機能性差や関連疾患を理解する上で極めて重要であると考え、その調節機構を解明しようとしている。 当該外国人特別研究員は2012年11月の来日以来、BKチャネル発現に対する男性ホルモンの影響についてラット精管を対象に検討してきた。去勢ラットから摘出した精管平滑渦筋において、BKチャネルの発現が対照群に比べ著しく低下していること、また去勢ラット精管平滑筋における電位依存性Ca2+チャネル(Cav1.2)の発現変化は顕著でなく、BKチャネル発現がかなり特異的に減少していることをまず再確認した。そしてBKチャネル転写抑制よりも、転写後の分解促進による可能性が高いことを見出した。転写後修飾を検討した結果、ユビキチン系によるタンパク分解が男性ホルモン受容体刺激により負の制御を受けている可能性が明らかとなった。さらに、基質タンパクを認識するE3リガーゼのうちNedd4-1の発現がテストステロン受容体刺激により減少していることを、リアルタイムPCR及び共免疫沈降法での解析により、mRNA及びタンパクレベルで明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオンチャネルに関するゲノム解析専門家の当該特別研究員が来日以来、初めて実験動物とその手術を要ずる薬理学的実験に携わり、実験技術を身につけつつ充分な基礎データを得て、E3リガーゼのうちNedd4-1の発現がテストステロン受容体刺激により減少しているという新たな発見をした。
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Strategy for Future Research Activity |
E3リガーゼのうちNedd4-1以外のものの発現がテストステロン受容体刺激により変化しているか、またテストステロン受容体活性化とNedd4-1発現調節の関連について、精管平滑筋を用いて更に解明する。前立腺癌の抗男性ホルモン療法時における精管を含む男性器官でのNedd4-1やCa2+活性化K+チャネル発現調節を泌尿器科医師との共同研究において明らかにする。これらは予定通りである。
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Research Products
(16 results)