2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳心腎連関の病態における腎内アンジオテンシノーゲンの役割
Project/Area Number |
12F02420
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
西山 成 香川大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KAZI R.I. 香川大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 脳心腎・代謝連関 / 交感神経 / インスリン抵抗性 / 糖尿病 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
今回の研究は、糖尿病における「脳心腎・代謝連関」の成因メカニズムを解明することを目的としており、糖尿病などの生活習慣病などで生じる脳卒中、心筋梗塞、慢性腎臓病などの各種臓器合併症に対する根本的治療の開発につなげることを最終目標としている。 初年度は、肥満からメタボリックシンドロームを生じて2型糖尿病を発症するOLETFラットを購入し、血圧・心拍数の持続モニターのため、香川大学の現有するテレメトリーを装着した。テレメトリーは、吸入麻酔後に大動脈内にカテーテルを挿入し、動脈圧と心拍数を感知するモニターを体内に埋め込む手術をおこなって装着した。手術回復後、全身循環動態、尿中カテコラミン排泄、腎機能、インスリン抵抗性などの持続モニターを開始した。OLETFラットはメタボリックシンドロームを生じる18週齢まで、あるいは糖尿病を発症する25週齢まで飼育され、その後腎交感神経を外科的に切除して、上記パラメーターの変化を観察した。次いで、腎内アンジオテンシノーゲンの遺伝子発現と蛋白発現を測定するため、腎臓を摘出して保存しているが、測定は次年度おこなう予定である。 現在までのところ、OLETFラットに腎交感神経切除をおこなうと、全身のカテコラミン低下による骨格筋への糖の取り込み改善をともなって、インスリン抵抗性が改善されることが明らかとなった。さらに興味深いことに、近位尿細管のSGLT-2発現低下による尿糖が増加することが明らかとなった。次年度以降は、このSGLT-2の選択的阻害薬を投与する実験を追加することにより、さらなるメカニズムの解明に努めていきたい。 尚、平成24年度の研究経費は、すべて動物(マウス・ラット)購入費と、サンプリングなどの際に必要なプラスチック容器の購入費として使用した(消耗品として使用)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験開始から数ヶ月しか経過しておらず、長期実験のすべてのデータを示すには至っていないが、OLETFラットに腎交感神経切除をおこなう実験を予定通りおこなっており、新しい知見を得ることにも成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降も引き続きOLETFラットを使用した長期実験を継続していく。尚、申請時は腎内レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系をターゲットとした病態メカニズムの解明を考えていたが、本年度の実験結果より、SGLT-2の役割に着目し、SGLT-2の選択的阻害薬を投与する実験を追加する予定である。
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Research Products
(2 results)