2012 Fiscal Year Annual Research Report
血管・リンパ管新生による免疫環境修飾の分子機序の解析
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12F02424
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 照人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHRESTHA B 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 血管新生 / リンパ管新生 / VEGF-A / B細胞 / 鉄代謝 / 脾臓 / リンパ節 / 病態検査学 |
Research Abstract |
平成24年度は血管の新生と分化の鍵分子である血管内皮細胞増殖因子(VEGF-A)のもつ血管透過性亢進作用の新しい生理学的意義の付加を目的として我々の研究室にて作出したB細胞特異的VEGF-A tgマウス(以下B-VEGF tg)の解析によりB-VEGF tgにおける鉄代謝の変化についての分子メカニズムにアプローチする目的であった。脾組織の構築変化の免疫組織化学的解析およびタンパク質発現のコントロールマウスとの定量比較、赤血球代謝に関連するデータを収集した。B-VEGF tgは鉄欠乏性貧血の表現型を示しておりVEGF-Aの血管透過性作用の本質が脾臓における赤血球の循環血中へのre-entryを制御している仮説に近づいたと考える。鉄代謝(脾・骨髄・肝臓)の評価として肝臓におけるhepcidinの発現レベルと十二指腸/肝臓/脾臓/骨髄(鉄代謝pathway)における鉄の動態解析、脾類洞の血管密度の測定として脾臓におけるPECAM-1、VE-cadherin、ephrinB2(動脈内皮)、EphB4(静脈内皮)の染色とreal-time PCRによる発現定量解析のデータを蓄積した。以上の如く平成24年度の研究は順調に進捗したが、新しく2つの課題を励起させた。第一はB-VEGF tgに観察された貧血の原因が性周期による出血量の増加である可能性を未だ否定できないこと、第二はリンパ節に観察された鉄の沈着がヒトにおける関節リウマチの臨床像に類似していることである。これらの2点に関しては平成25年度に因果関係を明らかにしていく予定である。本研究のゴールは血管・リンパ管を含む脈管新生と赤血球代謝(oxygen delivery)、免疫環境の修飾を一元的な生理学的機序として説明することにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に即した研究成果が挙げられている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の計画は順調に進捗したのでこれらのデータを一元的に説明するin vivoでのフローの解析を25年度の目的の一つとする。更に、B-VEGFtgにおけるLPStolerance獲得(Shrestha B, et al. J Immunol. 2010)の分子メカニズムを明らかにする目的にて既に予備実験としてフローサイトメトリーのデータにて得られているCD8陽性T細胞の減少とPD-1(Programmed cell death 1)発現の増加について血中およびリンパ節において検討する。 これらの研究遂行においてはCD8陽性T細胞のソーティング、PD-1の発現を確認するためのフローサイトメトリー、RT-PCR、リンパ節における免疫組織化学的検討を必要としこれらに関する実験設備は整っている。また、B-VEGFtgのin vivoでの免疫環境におけるマクロファージのLPSに対する応答を循環血中、リンパ節、腹腔マクロファージにおいて検討する。これらの研究遂行においてはTLRを介した細胞シグナリング解析を目的としてマウスの解剖、マクロファージのソーティング、細胞培養実験、ウエスタンブロッティング、EHSAを必要とし、これらに関する実験設備は整っている。
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Research Products
(1 results)