2013 Fiscal Year Annual Research Report
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12F02749
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
隈 研吾 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40424197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIPPA Cristiano 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本建築 / 宇宙 / 重力 / 視覚 / 構造環境 / 水平線 / 地球 / 断面図 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cristiano Lippa君は、21世紀のさらなる宇宙進出を前提とし、建築分野における、地球外空間での建築空間についての研究に取組んで来た。建築は常に屋内空間を有し、ある環境下に建てられることから土地や環境といった外部空間との関係性の元で考えられることが普通であるが、宇宙空間では屋内で完結する。彼独自のユニークな観点としては、宇宙を対象にしていること以上に、建築空間の研究に重力という概念を持ち出し、建築空間における知覚と、その重力による影響を考察しようとした点にある。外部と内部の関係と同時に、建築はものと人間の関係を持つため、人の知覚というテーマは非常に重要である。これまでも普遍的なテーマであったと言えるが、だからこそ重力という科学的な現象と、地球外空間において知覚という感覚的な事象が重要となるという視点に独自性がある。2013年度には、関連理論や言説を幅広く類型化し、視覚的に比較することでの分析を主に行った。建築の外部空間における人間の知覚は、理論的・概念的に捉えられる傾向があり、人間は重力といった物理現象を意識的には知覚していないと考えられる点など、議論の余地は大きいが、独自の観点で建築を見返すことはしばしば新しい発見を生む。また、近年改めて宇宙空間や宇宙開発に注目が集まっていることもあり、宇宙空間をより精密に議論する時期でもある。そういった字義通りの意味でも、建築への概念を見直すアナロジー的な意味でも、重力に着目する意義は少なくない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度には、数多くの地球外空間における空間の断面図を収集・編集・作成し、類型化・分析を行うための作業に時間を割いた。作成した多くの断面図から読み取れる特徴的な空間や特異点を取り出し、それらの特に人間同士の関係性等から分析を行った。同時に比較対象として地球の都市スケールでの断面図等も実測・作成し、社会スケールでの比較分析を行った。その分析では、特に日本の都市の垂直性が強調される結果となったが、その都市構造モデルと、ISSスペースステーションの計画との類似性が指摘することができた。つまりISSでは重力の定義や知覚のために、既存の都市計画と類似したような垂直性を導入しているのか、無意識に垂直性を強調しているものと考察できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは空間や知覚や屋内外の関係性といった理論的な分析を主に行ってきたが、今後は実際の宇宙空間と日本の建築環境についてより具体的なフェーズで、具体的に比較しながら研究を進めていく。宇宙建築と日本の建築環境に関しては、その都市構造レベルの類似性や、人間の知覚の応用、宇宙空間の物理特性などをより詳細に分析していく。
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Research Products
(1 results)