2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J00105
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青木 里奈 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シアノバクテリア / 低酸素適応 / 鉄硫黄クラスター / クロロフィル生合成 / 転写制御 |
Research Abstract |
ChlRは環境中の酸素レベルを感知して転写を制御する転写活性化タンパク質である。しかし、酸素環境の感知機構は全く未知であり、嫌気環境適応に欠かせない情報のインプット段階を解明する必要がある。精製ChlRのスペクトル特性からChlRは鉄硫黄クラスター保持していると推定され、これが酸素環境の感知を担っている可能性が示唆された。鉄硫黄クラスターは酸素にさらされると速やかに崩壊するという性質を持っており、これまでに鉄硫黄クラスターを介して酸素レベルを感知する転写制御タンパク質の例がいくつか報告されている。鉄硫黄クラスター保持には多くの場合、システイン残基が関わっており、ChlRのアミノ酸配列中には5つのシステイン残基(Cys18,Cys25,Cys63,Cys124,Cys126)が存在する。そこで、鉄硫黄クラスター保持に関わるシステイン残基を特定するために、それぞれのシステイン残基をアラニン残基に置換した変異型ChlR(C18A,C25A,C63A,C124A,C126A)を調製し、それらの吸収スペクトル測定により鉄硫黄クラスターの有無を検討した。その結果、C18A,C25A,C126Aでは鉄硫黄クラスターが保持されていない事が明らかとなり、これら3つのシステイン残基(Cys18,Cys25,Cys126)が鉄硫黄クラスターの保持に関与している可能性が示唆された。 また、ChlR非依存的な嫌気環境適応機構の解明のため、トランスポゾンをランダムに挿入したラン藻の変異株ライブラリーの解析を行った。以前に単離した嫌気環境下で生育不良を示す12株について、そのトランスポゾン挿入部位の解析を行い、現在までに8株についてトランスポゾン挿入部位を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ChIRの酸素感知機構の解明については、その感知に関わる可能性がある鉄硫黄クラスターの存在を明らかにし、そのクラスターのタンパク質への保持に関わるシステイン残基の同定が完了し、順調に進展している。一方で、ChIRレギュロンの探索および、トランスポゾン挿入ライブラリーの解析については、準備段階はクリアしているものの、今年度中に結果を得るまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ChIRの酸素感知機構の解明については、鉄硫黄クラスターの有無が転写活性化能に与える影響について、大腸菌を用いたin vivoレポーターアッセイ系を用いて検証する。ChIRレギュロンの探索については、解析に必要なラン藻変異株の作製は完了しているため、ChIP-Seq法を用いたレギュロンの解析に着手する。トランスポゾン挿入ライブラリーの解析については、明らかになったトランスポゾン挿入部位に対応する各遺伝子について、単独欠損株を単離し、実際に嫌気環境適応に重要な因子であるのか検証を行う。
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