2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00113
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山崎 憲慈 横浜国立大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 固液界面 / サファイア表面 / グラフェン / 分子認識 |
Research Abstract |
研究成果の内容 グラフェンは優れた特性を有する物質であるが、原子一層の薄さゆえ、バンドギャップなど物性制御が難しいことが問題である。グラフェンをバイオセンサ等、液中環境が想定されるデバイスへの応用を考える上で重要な水分子との相互作用について、理論計算をはじめとする報告例が存在する。しかしながら実際の溶液中での化学状態について報告した研究例はほとんど存在しない。今年度は、溶液中でのグラフェン表面の相互作用力の直接測定と、支持表面がグラフェンの物性に及ぼす影響について研究した。コロイドプローブによるフォースカーブ測定によって溶液中でのグラフェンとの相互作用力は吸着時には静電相互作用が支配的に働いていることがわかった。また引き離し時には疎水性相互作用に基づく強い吸着力が観測たれるため、グラフェンは溶液中においても強い疎水性を維持していることがわかった。さらに、サファイア表面に支持されたグラフェン表面に脂質膜を展開すると、支持表面の化学状態のパターンに応じた脂質単分子膜の展開が観察された。原子数層程度のグラフェンに対して支持表面の化学状態が溶液中において影響を及ぼすことがわかった。 研究結果の意義、重要性 グラフェンを溶液中で動作するセンサデバイスに応用する場合、周囲の水分子の影響を考えることは非常に重要である。本研究結果はグラフェンと支持表面の界面に存在する水分子がグラフェンの化学状態に強い影響を及ぼすことを示した研究結果である。センサデバイスとして利用が考えられる脂質分子の吸着を制御可能という結果を示した世界で初めての成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は溶液中でのグラフェンの物性評価を研究し、実際にグラフェンの帯電状態と強い疎水性を維持していることを直接測定できた。さらに溶液中におけるまたグラフェンを導入した脂質膜デバイスに向けて、グラフェン表面に脂質膜を展開させたところグラフェンの下に存在する支持表面によって展開領域を制御できることがわかった。計画時点では、表面修飾無しに脂質膜展開制御はできないと考えていたため、支持基板によって制御できることを示せたことは期待以上の研究成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年慶はグラフェン表面への脂質膜デバイス構築を目指す。膜タンパク質を導入した脂質膜デバイス実現のため、グラフェン上に脂質二重膜を展開させる。24年度の成果によって、通常の方法ではグラフェン表面に脂質単分子膜が展開することがわかったので、繋ぎ止め法によりグラフェン上に膜タンパク質を導入可能な構造を構築する。原子一層のグラフェン表面では支持表面によりグラフェンの状態制御が可能なので、固体表面による分子認識を用いた集積デバイスの実現を目指す。
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Research Products
(8 results)