2013 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ燃料生産に向けた新規マルチドメインセルラーゼによる繊維分解機構の解明
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12J00232
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新開 純代 (金房 純代) 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 嫌気性高度好熱細菌 / セルラーゼ / マルチドメイン / 透過型電子顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 / バイオマス |
Research Abstract |
本年度は、Caldicellulosiruptor besciiセルロース分解酵素系(CEC)のセルロース分解過程を透過型電子顕微鏡および原子間力顕微鏡を用いて観察し、セルロース表面構造の変化および酵素局在から繊維分解機構の解明を試みた。その結果、加水分解時にセルロースが粘着性を帯び凝集または膨潤化することを明らかにした。これは、CEC内エンドグルカナーゼにより1α型セルロースが表面を優先的にほぐし溶かされ粘性を持った膜状となり互いに合一し塊を形成したためと推測された。また、原子間力顕微鏡画像解析により加水分解時にセルロース高が1.2nm増加することを明らかにし、CEC内タンパク質のセルロース表面への吸着およびセルロース間の凝集が示唆された。 さらに、CEC内繊維分解関連タンパク質による繊維分解機構を分子レベルで解明するためにタンパク質の単離を行い基質結合特異性評価を行った。昨年度構築したCEC内細胞外基質結合タンパク質(SBP44、SBP50、SBP56)の発現系を用い大腸菌による大量発現を試みた。その結果、C. bescii分泌総タンパク質濃度と比較すると100倍濃度のSBPが単離され、SBP44、SBP50、SBP56の大量発現法を確立した。次に、発現したタンパク質の基質結合特異性を評価したところ、SBPごとに結合特異性が異なることを示し、特にキシランへの結合量が他の基質に比べ高いことを明らかにした。CECは高いキシラナーゼ話性を示したことから、加水分解活性を持たないSBPが基質へ選択的に結合し、マルチドメインセルラーゼによる加水分解を補助することで相乗的に高い酵素活性を発揮することが推察された。 本研究により、従来の酵素糖化法で用いられているセルラーゼよりもタンパク質比活性値で高い酵素活性を示すC. bescii分泌タンパク質による繊維分解機構の一端が解明された。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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