2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00241
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田村 磨聖 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 活性酸素 / 抗酸化剤 / 塩 / アルコール / がん / ミトコンドリア / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本年度の研究では、活性酸素除去剤のターゲットとなる酸化ストレス誘導剤についての研究を実施した。 具体的には、日本で摂取量が多い塩と一般に摂取される酒(エタノール)が酸化ストレス誘導剤として働くか実験を行うと同時に、がん悪性化の予防が活性酸素除去により達成できる可能性を検討した。また、これらの結果は国際誌に3報投稿済みであり、そのうち塩と酸化ストレスの関係についてはAcceptされている。以下実験の結果について記す。塩とエタノールは酸化ストレス誘導剤として働いていた。それぞれの因子について主に下記4項目について検討した。1.濃度、時間依存的な細胞死の誘発 2.酸化ストレスにより増加する脂質過酸化量3.活性酸素検出蛍光試薬APF、Electric spin resonance (ESR)による活性酸素産生量の測定4.ミトコンドリア由来の活性酸素が誘導されているか確認(塩と酒で別の手順を使用) 塩、エタノールともに通常摂取量で酸化ストレスおよび細胞死が誘発される可能性を示唆した。実際には胃の細胞は粘膜に保護されており、細胞に到達するまでに何倍も希釈されていると考えられるが、胃潰瘍のような細胞が表面に露出する状態では塩、エタノールに対する障害が増強されるものと示唆される。また、時間依存的な障害が生じていることから、胃粘膜に貯留し、局所的な塩濃度増加する塩漬けの食品あるいは長時間にわたる飲酒が胃に対して高い傷害を与える可能性がある。これらの傷害はミトコンドリア由来活性酸素の産生が示唆される。ミトコンドリア由来活性酸素ががん悪性化に関与する可能性を示唆していることから、がん患者において過剰な塩・エタノールはがん悪性化を増強するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の予定は、活性酸素関連疾患がどのような条件下で悪影響を及ぼすのか検討することを第一目標としていた。活性酸素関連疾患憎悪を促す1因子でも見つけられればよいと考えていたが、2因子についての検討を終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
疾患予防に向けた新規活性酸素除去剤の開発に向けて、一般的に食材あるいは調味料として用いられる活性酸素関連疾患憎悪因子の探索を引き続き実施する。また、それら因子の生体影響をin vivo実験にて確認を行う。
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Research Products
(12 results)