2013 Fiscal Year Annual Research Report
皮質繊維層in vivoカルシウムイメージングによる注意行動制御機構の解明
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12J00301
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒木 暁 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | netrin-G1 / カルシウムイメージング / 大脳皮質1層 / 視床非特殊核 / Cameleon |
Research Abstract |
視床に発現するnetrin-G1の行動学上の意義を明らかにするため、背側視床選択的netrin-G1コンディショナルノックアウト(dTh-cKO)マウスと特殊視床核選択的netrin-G1コンディショナルノックアウト(sTh-cKO)マウスによる行動試験スクリーニングを行った。コンディショナルノックアウトマウスは、それぞれPkcd-Cre (dTh-cKO)と5HTT-Cre (sTh-cKO)とnetrin-G1遺伝子のfloxマウスを交配することで作成した。結果はdTh-cKOマウスにおいて注意不全、高衝動性(インテリケージテスト)とRisk taker(ギャップクロッシングテスト)の傾向が見られたが、sTh-cKOマウスにおいては見られなかった。この結果から、背側視床非特殊核におけるnetrin-G1の発現が注意や意思決定に寄与する可能性が示唆された。 昨年度開発した経頭蓋広域カルシウムイメージング法が脳の活動を反映しているか検証した。まず、細胞外電位(LFP)記録との相関を解析し、LFPと電極を刺した部分の蛍光イメージングによるFRETシグナルの相関が、他の部位のFRETシグナルに比べて有意に高かった。次に、感覚刺激に対する機能的マップが描けるか検証するため、視覚、聴覚、触覚の刺激を与え、その応答を確認した。各刺激に対し、V1、A1、S1、のそれぞれに対応する領域の応答が見られた。また、LFPと相関があり、感覚刺激に対応する機能的マップが描けたことから、このシグナルは神経活動を反映している可能性が高いと判断した。 生体内シグナルであるフラビンの蛍光スペクトルがYFPのそれと近いので、特に蛍光強度が低いVGAT-Cre : LSL-YC2.60マウスなどで、フラビンシグナルがFRETシグナルに混ざっているかもしれないという懸念があった。Creタンパク質を発現していないマウスで同様のイメージングを行った結果、髭刺激に対する応答は見られなかった。この結果から、このイメージングへの内因性シグナルの影響はほぼ無いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画よりは変更があり遅れているが、その理由が行動中に広い範囲のカルシウムイメージングを行う新しい方法を発見したためであり、研究の意義はより増していると考えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に新しいイメージング法に関する研究の内容をまとめて論文として投稿する予定である。また、経日的にイメージングするためのマウスの手術法や行動タスクのデザインも継続して行っていく。また、netrin-G1cKOマウスに関しては所属研究室の予算の都合上一時凍結する。実験計画としては、古典的な注意課題(5-選択反応時間課題)と意思決定課題(T字迷路課題)を行い行動の表現形を確定する。また、netrin-G1欠損の視床-皮質投射への生理学的な影響を解析するために、電位感受性色素による視床-皮質投射を電気刺激したときのスライスイメージングを行う予定である。
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