2012 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体と真空技術を組み合わせた新規ナノ材料の創製と応用
Project/Area Number |
12J00381
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉井 一記 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イオン液体 / 金属ナノ粒子 / カーボンナノチューブ / 燃料電池 / 電気化学 / 真空技術 |
Research Abstract |
本研究ではイオン液体と真空技術を組み合わせた新規ナノ材料の創製と応用、特に金属ナノ粒子複合材料の作製とその電気化学的な応用を目的とした。イオン液体は、常温で液体の塩であり、不揮発性、不燃性、イオン伝導性を持つ、電気化学的・熱的に安定といった特異な物理化学的性質を持つ。我々の研究グループでは、イオン液体の不揮発性に着目し、直接スパッタリングを行うことで金属ナノ粒子が作製可能であることを報告している。その中で申請者は、本方法で作製したPtナノ粒子と単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を加熱撹拌することで、Ptナノ粒子が容易にSWCNT上に担持可能であることを発見した。本年度の研究において、これらの分光学的な分析や電気化学的な応用に取り組んだ。 脂肪族アンモニウム系のイオン液体を用いてPt担持SWCNTを作製すると、容易にPtナノ粒子が担持され、その担持量の制御も簡便に行うことが出来た。一方、イミダゾリウム系のイオン液体を用いると、ほとんどPtナノ粒子が担持されること無く、イオン液体種の違いによる担持挙動の違いを明らかにした。X線光電子分光法を用いて分析を行うと、脂肪族アンモニウム系のイオン液体を用いた場合、イオン液体がPtナノ粒子とSWCNTの間にバインダーとして存在しており、担持に大きな役割を果たしていることが分かった。本方法では、通常ナノ粒子の担持が困難な未処理のCNrにPtナノ粒子を担持しており、CNTの本来の特性を保ったまま複合材料化出来ている点は非常に有用であると言える。 電気化学的な応用については、固体高分子形燃料電池のカソード触媒としての評価を行った。Ptナノ粒子を担持したSWCNTは良好な酸素還元触媒能を示し、担持量の増加に伴って触媒能が向上することが分かった。これらの結果は燃料電池カソード用触媒作製の新規なアプローチとして有用なものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」に示した通り、炭素材料へのPtナノ粒子担持におけるイオン液体種が与える影響についての分析を行い、イオン液体種によって担持挙動が違うことを明らかにできた。また、分光分析によりイオン液体が担持に大きな影響を与えていることも明らかにした。担持量の制御により高活性なカソード触媒作製へ向けた、基礎的な知見が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究において、作製した複合材料が良好な酸素還元触媒能を示し、燃料電池用カソード触媒として有用であることが分かった。この複合材料はカーポンナノチューブに何も処理をしていないため、カソード触媒としての耐久性に優れていると考えられる。そこでまず、耐久性の評価を行おうと考えている。 さらに、今年度得られた知見をもとに、合金系触媒の開発を行いたいと考えている。PtRuやPtCuナノ粒子を作製し、燃料電池用触媒としての応用を目指したい。
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Research Products
(6 results)