2013 Fiscal Year Annual Research Report
血球系分化における核小体因子MYBBP1Aの新規機能の解明
Project/Area Number |
12J00436
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
片桐 尚宏 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核小体 / 核小体崩壊 / 血球系分化 / 巨核球分化 / 好中球分化 / マクロファージ分化 |
Research Abstract |
核小体崩壊によって誘導される血球系分化の一般性を評価するために、研究を行った。 24年度の研究結果から、核小体崩壊によって慢性骨髄性白血病細胞株K562細胞が巨核球に分化することを新たに発見した。そこで25年度の研究では、この核小体崩壊による分化という現象の一般性について、詳細な検討を行った。 K562細胞と同様に巨核球への分化能を有する巨核球系ヒト白血病細胞株HEL細胞を用いて、核小体崩壊による分化誘導をFluorescence Activated Cell Sorting (FACS)により評価した。その結果、rRNA転写の必須因子であるTIF-IAに対するSiRNAを用いて、HEL細胞に核小体崩壊を誘導したところ、巨核球のマーカータンパク質であるCD41を高発現させた細胞が顕著に増加したことから、巨核球への分化が誘導されることが明らかとなった。 さらに核小体崩壊が巨核球分化以外にも関与するのかを、好中球への分化能を有するヒト骨髄性白血病細胞株HL60細胞と、マクロファージへの分化能を有するヒト末梢血単球由来細胞株THP-1細胞において評価した。好中球とマクロファージのマーカータンパク質であるCD11bに対する抗体を用いてFACSにより検討した。その結果、TIF-IAに対するsiRNA処理により、HL60細胞とTHP-1細胞のそれぞれの細胞において、好中球とマクロファージへの分化が確認された。 以上の結果から、核小体崩壊による巨核球分化誘導という現象が、単なるK562細胞特異的な現象ではないことが示された。また核小体崩壊による分化誘導が、巨核球分化特異的な現象ではなく、好中球やマクロファージといった様々な種類の血球系細胞の分化を誘導する、一般的な現象であることを新たに示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を使用した研究においては、実験計画以上に進展し、新たな発見を行うことができている。しかし、MYBBP1Aコンティショナルノックアウトマウス作製の点のみ予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、様々な種類の血球系分化における、核小体崩壊の意義とMYBBP1Aの機能解析を行う。中でも、核小体崩壊による分化誘導を新たに発見した、HEL細胞、HL60細胞、THP-1細胞において、核小体崩壊時におけるMYBBP1AとC-Mybの関与と機能を明らかにする。さらにマウス生体内における核小体崩壊とMYBBP1Aの機能解析のため、造血幹細胞特異的なMYBBP1Aのノックアウトマウスの作製を行う。
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