2012 Fiscal Year Annual Research Report
不斉ニッケル触媒を用いた[2+2+2]環化付加反応における多点立体制御
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12J00505
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 章 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 不斉合成 / ニッケル / [2+2+2]環化付加 / エノン / アルキン / N-ヘテロサイクリックカルベン |
Research Abstract |
本研究では、不斉ニッケル触媒を用いた[2+2+2]環化付加反応における多点立体制御を目的としている。既に、ニッケル触媒を用いたエノンとアルキンとの[2+2+2]環化付加反応により立体中心を4カ所有する六員環化合物が合成できることを達成している。さらに、反応機構解明にも成功しており、不斉反応の開発にあたり、基礎的な部分において十分な知見を有している。 本年度は、上記の[2+2+2]環化反応を不斉反応へと展開した。[2+2+2]環化付加反応は、六員環化合物を一段階で合成できる有用な手法であるが、これまで報告されている不斉[2+2+2]環化付加反応において、構築できる不斉中心は多くても3点であり、また分子内反応である必要があった。そのため、4カ所の立体中心を一挙に作り上げる手法は一切なかった。 本研究では、先に示した問題点を克服し、かつ効率的な触媒系の開発に取り組んだ。種々検討した結果、キラルなN-ヘテロサイクリックカルベンを配位子として用いることで4つの不斉中心を有するシクロヘキセン化合物のエナンチオ選択的合成に成功した。本反応では、概ね良好な収率、高エナンチオ選択的に進行し、多様なシクロヘキセン化合物が合成可能である。 今後反応機構について、計算化学的手法を含めた詳細な機構研究を行う。本手法では、4つの立体中心を一段階で構築できるため、天然物や、医薬品合成などにおいて、合成手順の簡略化による効率化に繋がると考えられ、多大な波及効果を及ぼすと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、反応開発を行い、概ね必要な実験データは集められている。この結果に基づき、反応機構解明に取り組むとともに論文執筆を今後行なう。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の反応における反応機構解明を行ない、得られた結果を基にして新たな不斉反応の開発を行なう予定である。
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Research Products
(6 results)