2013 Fiscal Year Annual Research Report
放射線還元法を利用した無電解めっき代替技術の研究開発
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12J00512
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大久保 雄司 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Keywords | 放射線化学 / 無電解めっき / 還元 / 電子線 / XAFS |
Research Abstract |
初年度は、電子線照射還元法によりプラスチック基板上に金属膜を作製することに成功したため、本年度は、放射線還元法により製膜した金属膜の解析に注力した。まず、出発原料水溶液へ投入するAuイオン濃度を三段階(2mM, 5mM, 40mM)に変化させ、得られたAu膜の変化を調査した。投入Au濃度により、Au膜の色が目視でもわかるほど異なった。見た目の変化の原因を明らかにするため、蛍光X線(XRF)分光測定により、プラスチック基板上のAu堆積量[mg/cm^2]を調査した。投入イオン濃度の増加に伴い、Au堆積量が増加していた。さらに、エネルギー分散型X線(EDX)分析装置を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)により、放射線還元法で製膜したAu膜の表面を観察した。投入Au濃度を2mMにした場合は1μm以下の微細な粒子が大半を占めたが、投入Au濃度を5mMにした場合はAu粒子同士が数珠のように連なった。さらに投入Au濃度を高くすると、1μm以上の粒子が増加し微細な粒子が減少していた。これらの結果より、投入Au濃度により、Auめっき膜の構造が異なることが明らかになった。X線回折(XRD)測定により、Au膜の結晶性を評価した。Au (111)面、Au (200)面、Au (220)面、Au (311)面に帰属するピークのみが観察され、Au酸化物やAu塩化物を示すピークは観察されなかった。この結果より、放射線還元法で製膜したAu膜は、Au-metalの単相であることが明らかになった。次に、Au膜とプラスチック基板との間の密着力を評価するため、テープ剥離試験および超音波洗浄前後に、SEM-EDXによるAuマッピングを行った。超音波洗浄およびテープ剥離試験後であっても、プラスチック基板上ではAuが検出され、さらにAu膜はアイランド状になっておらず、Auが基板表面全体を被覆していた。これらの結果より、放射線還元法で作製されたAu膜は、耐剥離性に優れていることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(20 results)