2012 Fiscal Year Annual Research Report
自由表面の大変形を伴う電磁流体現象に対する汎用的数値解法の開発
Project/Area Number |
12J00574
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 岳 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 粒子法 / 電磁流体 / クーロン分裂 / 自由表面 / メッシュ / 境界要素法 |
Research Abstract |
流体の大変形や分裂を伴う電磁流体現象を、複雑な処理なく精度よく数値解析するという目的に対し、当該年度では流体計算として粒子法を用い、電磁場計算として境界要素法を使用する連成解析手法を提案した。この手法では、流体計算に有限要素法のようなメッシュを用いる必要がなく、そのため流体が大変形してもリメッシュなどを行う必要がない。また、流体の運動はラグランジュ的に計算されるため、従来より深刻な誤差の発生元であった移流項を計算する必要がない。そのため、移流項の誤差を低減するための技法も必要なくなる。さらに、電磁流体現象を境界要素法を用いて解くため、空気計算点を配置する必要がない。これは計算コストが下がるだけでなく、従来なら流体の大変形に応じて、流体周辺に適切な箇所に空気計算点を配置し直さなければならなかったのだが、そのようなプロセスが不要となる。一般的に、空気計算点の再配置や、それに伴うリメッシュなどは単に計算時間がかかるだけでなく、メッシュを作成する途中でプロセスが破綻し、計算が続行不可となる場合があるため、本手法のように空気メッシュや流体メッシュを必要としない手法のメリットは大きい。 本研究で提案した粒子法と境界要素法の連成解析手法を実装し、レイリー分裂という現象の数値解析を行った。この現象は、電荷をもった液滴が分裂していく現象であるが、先行研究では分裂する直前までしか計算がされていなかった。これは、液滴の大変形や分裂に耐えうる高精度な計算手法が存在しなかったからである。 しかし本手法を用いることで、分裂後の液滴の挙動までもが計算できるに至った。今後はその計算精度に関して調査していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メッシュを使わず流体の大変形の計算を可能とする粒子法と、その長所を生かした形で電磁場計算できる境界要素法を合わせることで、空気計算点を必要としない電磁流体現象解析手法を提案・実装し、簡単な数値解析モデルに当てはめてその有効性を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
提案した粒子法と境界要素法との連成解析手法の精度を検証する。また、本手法は境界要素法を使用しているため、空気計算点を設置する必要はないが、支配方程式が積分方程式となるため、解析モデルのトポロジーが変化するような(分裂・合体など)問題に対して汎用的なソースコードを作成することが難しい。そこで、空気計算点を周囲に配置することにはなるが、メッシュを一切用いず、かつ支配方程式を微分方程式として解く手法を開発する。
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Research Products
(2 results)