2013 Fiscal Year Annual Research Report
η’粒子を用いた対称性の破れによる質量生成機構の実験的解明
Project/Area Number |
12J00608
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨田 夏希 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ハドロン物理学 |
Research Abstract |
本研究の目的はη'中間子の原子核内での質量変化を測定することにより、対称性の破れによる質量生成機構の検証実験を行うことである。本研究ではSPring-8 LEPS2ビームラインの高エネルギーγ線を用い、^<12>C(γ, p)η'^<11>B反応により、^<11>B原子核中にη'を生成する。そしてη'中間子と^<11>B原子核の束縛エネルギーから質量変化の観測を行う。束縛エネルギーは、前方に散乱される陽子のエネルギーを測定することによって求める。陽子のエネルギーはターゲットの前方12.5mの位置に設置されるResistive Plate Chamber (RPC)を用いてTime-of-FIight (TOF)測定法により測定する。本研究ではη'原子核の束縛エネルギーを20MeV以下の精度で測定することを目標とする。20MeVのエネルギー分解能を達成するためには、50psという非常に高い時間分解能を持つTOFシステムの開発が必要である。TOFシステムの時間分解能は、主に使用するRPCとアンプ、ディスクリミネーター、TDCの4つの時間分解能によって決まる。このうちRPC、アンプ、TDCについては昨年度までの開発で充分な性能を確認している。そこで本年度前半はディスクリミネーターの開発を行った。また、TDCの読み出しチャンネル数はそのままに、RPCでより大面積を覆うため、異なる読み出しストリップの信号の和が取れるようにアンプとディスクリミネーターの改良を行った。改良したアンプとデイスクリミネーターはLEPSビームラインで性能評価を行い、1chあたりRPCで250cm^<2>の大面積を覆いながらTOFで50psの時間分解能を達成できることを確認した。本年度後半には実機の製作を行った。12月には全数の2割のRPCをLEPS2ビームラインヘインストールし、実際にビームを用いてデータ取得を行った。本年度終わりにはRPC、読み出し回路ともに全数の製作が完了し、来年度4月からは^<12>C(γ, p)η'^<11>B反応の測定を開始する予定である。本年度のRPCおよび読み出し回路の開発については複数の学会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していたディスクリミネーターの開発は順調に進み、要求性能を満たすものの開発に成功した。また、実機のインストールも完了し、実際にビームを用いたデータ取得も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に必要なRPCの開発は本年度完了した。来年度は^<12>C(γ, P)η'^<11>B反応のデータ取得を行う。また取得したデータは解析を進め、本研究の目的である対称性の破れよる質量生成機構の実験的検証を行う。解析したデータは論文にまとめ、成果発表を行う。
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Research Products
(4 results)