2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00632
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 基彰 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光と物質の相互作用 / 超強結合 / 散逸 / レーザー発振 / 光学フォノン / サブバンド間遷移 |
Research Abstract |
研究実施計画の通り,本年度は,超強結合系の散逸をいかにして記述するべきかという,本研究を遂行する上で必須となる研究テーマに取り組んだ.これまで一般的なものとして世界的にも認識されていた手法が超強結合系に関しては誤った結果を与えることを本研究では世界で初めて明らかにし,正しい計算手法を示すことにも成功した.この計算手法の開発によって,共振器内外での光の相関関数を正しく評価することが可能となり,本研究の目的であるレーザー発振した超強結合系からの出力光を量子力学的な観点から評価する道筋が付いた. 光と物質の超強結合系を実現できるGaAs量子井戸でのサブバンド間遷移は,本研究でも具体的に想定する実験系の1つであるが,そこでのキャリア間の非線形相互作用に関してもフランスの共同研究者とともに理論研究を行った.そこでの詳細な解析は,将来的にこの系におけるレーザー発振を解析する上で必須となる作業である. 超強結合系を実現しうる新たな実験系に関しても,日本の実験グループと議論を交わした.特に,無機有機量子井戸系について意見交換をし,手始めにその基礎的な物性の解析から共同で進めていく予定である.また,複数の実験グループと,光学フォノンについても意見を交わした.レーザー発振の媒体としては有望とは考えにくいが,光と物質の超強結合の基礎的な物理現象や上記散逸過程の記述法を検証することが可能であり,比較的容易に準備が可能なこのフォノン系を想定した解析についても今後進めていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の通り,研究目的を遂行する上で必須となる散逸の扱いに関して,その基本的なアイデアを確立することに成功した.また,実験グループとの共同研究に関しても,光学フォノンという比較的容易に扱うことのできる系の存在を認識することで,基礎的な実験検証への道筋が見えてきたと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
比較的扱いやすい実験系として,まずは光学フォノンを想定し,本年度に構築した理論をいかにすれば検証できるか検討する,その際には,実験グループと密に議論し,実現可能な実験法を提案し,できることなら実験の実施とその解析まで手掛ける,一方で,最終的な研究目的である超強結合系におけるレーザー発振について解析を行い,通常のレーザー発振との違いを量子力学的な観点から明確にする.また,超強結合を実現しうる新たな実験系も,積極的に探索する.
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Research Products
(8 results)