Research Abstract |
本研究の目的は,様々なメンタルタスクを組み合わせた脳マシンインターフェイス(BMI;Brain Machine Interface)であるハイブリットBMIのための信号処理の開発である.BMIは,あるメンタルタスクにコマンドを割り当てる.ユーザがそのタスクを行ったときに,その割り当てたコマンドを入力する.例えば,代表的なタスクの一つに運動想起がある.このタスクの場合,ユーザは,左手・右手・足などを動かす想像をする(実際には動かさない).運動想起を使ったBMIでは,ユーザが左手の運動想起を行ったときに,マウスカーソルを左に動かすといったインターフェイスを実現することができる.ユーザがどのメンタルタスクを行ったかを知るために,脳波計,脳磁計,機能的核磁気共鳴装置,近赤外分光測定装置といった装置で観測された脳信号を用いる.本研究では脳波を扱う. 本研究では,観測信号をもとに特徴抽出に必要なパラメータを推定する方法を提案する.あるタスクを行ったときの脳波をあらかじめ測定し,その中で最も特徴的な成分を見つけることで,タスクによって誘発される脳活動に対する特徴成分を推定することができる. 今年度では,特に,運動想起時の脳波に着目した.運動想起時に脳波で観測される特徴成分の周波数帯域・空間分布・発生時間を,それぞれ,FIR(finite impulse responses)フィルタ・空間重み・時間ウィンドウのパラメータとして推定する.提案法では,観測信号の抽出信号の分散の比を評価する評価関数を定義する.そして,その評価関数の最大化問題を解くことで,パラメータを決定する.ここで,多次元配列として観測信号を扱うことで,多次元配列信号処理に用いられる順序最適化,交互最適化による解法を提案した.運動想起を用いたBMIの識別実験で,提案手法を用いた特徴抽出を行うことで,従来手法を上回る識別精度を達成した.
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Strategy for Future Research Activity |
開発した多次元配列信号処理を用いて,様々なメンタルタスクや外部刺激に対する脳活動を解析する予定である.開発の信号処理の方法で,統一的に解析が可能であれば,それをもとに脳マシンインターフェイスのためのメンタルタスク識別手法の開発を行い,実際にリアルタイムシステムを構築し,その性能を評価する. 信号処理の段階で,統一的な解析が難しい場合は,正則化などを導入し,より頑健な信号処理法を開発し,ハイブリッド脳マシンインターフェイスを実現する.
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