2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00691
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高科 直 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 海洋保護区 / 生態系保全 / 多様性 |
Research Abstract |
申請書類内の研究目的[1]に関しては,漁業者の行動を規制しない,結果として漁獲努力が増加するような海洋保護区の導入は,保護区導入後にも漁獲圧を変化させない場合に比べて,海洋保護区の資源回復効果や,レジームシフトに対する頑健性の改善効果が常に低く抑えられる事を示した。また,レジームシフトを起こしうる(よって複数安定状態が存在する)海洋生態系内においては,理論,実証研究を含む,これまでの数多くの先行研究が示してきたような「sedentary speciesは海洋保護区の回復効果を最も享受しやすい」といった結論とは全く逆の結果を導きだした。この事実は,海洋保護区導入にあたって,複数安定状態の重要性を軽視するべきではないという示唆を与える。以上の結果は現在国際誌へ投稿中である。 また研究目的[2]にあるように,2012年度中にカリフォルニア大学デイビス校Department of Environmental Science&PolicyのMarissa Baskett博士,また同大学のDepartment of Wildlife,Fish&Conservation BiologyのLouis Botsford博士のもとを短期の研究滞在をし,生態学的なプロセスの中に人間の意思決定の要素を組み込んだモデリングに関する共同研究を行った。これは生態系の観測プロセスに掛かかるコストおよび海洋保護区から得られるベネフィットの関係を明らかにするものであり,限られた予算の中でいかに海洋保護区の効果を引き出せるかを議論する事を目的としており,現在,数値シミュレーションを行っている。また同じく研究目的[2]にある,ランダム群集行列を用いたモデリングは,島根大学生物資源科学部の舞木昭彦准教授との共同研究をしており,現在計画通り進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究[1]を予定通り投稿し,また研究[2]に関しても順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究[2]の評価基準を海洋保護区導入だけの議論に限定せず,漁業の影響を調べるように拡張してやると生態系インパクトに関するより包括的な議論を行える事がわかった。よって保護区の議論も残しつつ,漁業が生態系全体にどのように波及し,それらが回復などに同影響を及ぼすかなどを議論する。
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Research Products
(6 results)