2013 Fiscal Year Annual Research Report
液晶におけるアンカリング転移の基礎研究と高性能デバイスへの応用
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12J00764
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
謝 暁晨 東京工業大学, 大学院理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Keywords | アンカリング構造転移 / 擬似スメクティックA相の濡れ効果 / 双安定デバイス / 二光子蛍光顕微鏡 / 3次元分子配向解析 |
Research Abstract |
今年度は上記の課題名にて以下の成果を上げました 1)アンカリング構造転移の成長過程を詳細に調べ、結晶成長とのアナロジーから、成長の次元性を検討した。 2)昨年に続き、電気メモリーデバイスに応用するために、電場下でアンカリング構造転移の挙動を主に明らかにした。主な着眼点は下の二点になります。 ①アンカリング構造転移において双安定領域におきまして水平配向と垂直配向とを電場で非可逆的にスイッチングさせることができたことを踏まえ、使用する液晶の使用温度を室温まで低め、実用デバイスとしての利用を検討している。 ②アンカリング構造転移が起こる際の熱挙動や界面センシティブな超微小角X線回折実験結果からメカニズムの詳細を検討し、転移前後における界面の分子配向変化を明らかにした。その一方で、アンカリング転移の際における液晶分子の空間分布について未解明であったため、2光子偏光蛍光共焦点顕微鏡を立ち上げ、分子配向の可視化を試みた。得られた空間分子配向プロフィールはモデルとほぼ一致した。今後は、非線形光学効果を用いた顕微分光による界面の状態を、より詳細にプローブする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度では本研究におけるアンカリング構造転移は、配向膜界面における擬似スメクティックA相の層構造の出現によって誘起されていることを超低角入射X線回折法等により明らかにし、また、この系に対しhome-madeの高感度示差走査熱量測定(DSC)及び温度波熱分析法(TWA)により詳細に解析を行い、アンカリング構造転移前後における配向状態の揺らぎ状態の差異を確認した。以上のことから、アンカリング転移の起源を探ることができた。さらに、これを応用したデバイスも作製し、論文としてまとめた。当初の実験計画とほぼ一致し、おおむね順調に進展しています。
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Strategy for Future Research Activity |
二光子顕微鏡による分子の空間分布をとらえることに成功したものの、そのダイナミクスをとらえずにいる。そこで、現在second harmonic generation (SHG)顕微鏡を立ち上げ、界面付近の分子配向を温度等のパラメータに対してモニタリングする予定である。これらの実験にて結果が得られれば、アンカリング転移等の界面に特化した現象の詳細な起源を提示でき、今後の界面科学に橋渡しする役割をはたすことができると考えられる。
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Research Products
(14 results)