2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00817
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蘆田 真由 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 映画 / 子ども / 観客 / 受容 |
Research Abstract |
「観客としての子ども」が映画をどのように受容しているかについて考察するため、平成24年度は、映画教育活動にフィールドワークとして参加してきた。このフィールドワークをもとに、映画教育の現状、そして映画教育が子どもにどのような効果をもたらすのかを明らかにすることで、子どもが大人同様に映画を読み解くことができる可能性に光を当て、「観客としての子ども」の考察を深めていくための基盤を作り上げることを目指した。具体的な方法を以下に述べる。 現在行われている映画教育活動の種類は、大きく分けて「制作」と「鑑賞」の二つがある。 研究者は、両分野の映画教育活動でフィールドワークを行い、子ども達が映画制作や鑑賞をどのように経験し、その結果なにが得られるのかを見出すことにした。「制作」においては金沢で行われている「こども映画教室」をケーススタディとした。子ども達が映画を作りあげる過程に密着し、その制作過程から彼らが日ごろどのように映画を見ているのかを、また、制作した作品の上映時、どのようなところに着目しているのかを調査した。「鑑賞」においては、京都の「キンダーフィルムフェスト京都」を対象として、子ども審査員達がm、映画祭開催期間中の三日間で二回ずつ鑑賞した作品について毎日繰り広げられる議論を観察し、映画をどのように受容しているのかを調査した。 本研究の特色は、映画教育を取り上げているだけでなく、フィールドワークを行っており、観客の受容に焦点を合わせていることも、本研究の特色だと言える。また、本研究の成果は、映画学だけでなく、メディアリテラシー育成や視聴覚教育という他領域にも貢献しうるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「こども映画教室」のように、子ども達だけで映画を作ることによってそのストーリー性やショットの構図を深く観察することを学び、「キンダーフィルムフェスト京都」のように短期間で何度も同じ作品を鑑賞することが、より精緻な映画読解に繋がるのだ。このように、子どもに映画を見せ、作らせることで子ども達に批評的眼差しが生まれることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
「子ども観客」を論じるにあたって、作品自体にも目を向ける必要がある。そこで、従来のカルチュラルスタディーズのオーディエンス研究やテレビアニメーション分析、アニメーション映画に対する映画学的アプローチ(研究内容で詳述)を応用し、雑誌や新聞のほか、特撮やアニメーション作品を制作する「東映」系列の関係機関から集めた資料を精緻に調査したうえで、研究を進める。
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Research Products
(1 results)