2012 Fiscal Year Annual Research Report
超高強度レーザーとプラズマとの相互作用により形成される導波路診断
Project/Area Number |
12J00858
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩脇 智行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | レーザープラズマ / レーザー核融合 |
Research Abstract |
本年度はまず1次元、2次元PICシミュレーションを行うことによってプラズマ中を伝搬するレーザ・ー光の様子を調べた。結果として、臨界密度を超えるような高密度なプラズマ中を伝搬する際、レーザーパルス内に残った電子によるエネルギーの吸収が顕著になるため、伝搬距離が制限されることがわかった。また、プラズマチャネルの形成速度を3次元的に考察したところ、プラズマチャネルが速く形成されるモードとゆっくり形成されるモードがあることがわかった。以上のことから、ゆっくりとプラズマチャネルが形成されるモードにおいて、臨界密度プラズマを超えるような高密度なプラズマ中を超高強度レーザーが伝搬する際、その伝搬距離は残留プラズマの影響により制限されることがわかった。また、早く形成されるモードでは、レーザー光の回折現象により伝搬するに従って直ちにその強度を低下させることをシミュレーションによって確認した。従って、効率良くレーザー光をコアプラズマ近傍まで伝搬させるためにはこれらの制限を回避することが求められる。 また、プロトンバックライト法(PB)を用いて臨界密度を超えるプラズマ領域での導波路を観測し、多チャンネル電子スペクトロメーター(MCESM)を用いて生成される高速電子を観測する実験を行った。実験では当初予定していた通り高強度レーザーをプラスチックターゲットに照射することによって形成される密度勾配を持ったプラズマに対して超高強度レーザーを照射した。結果、PBではいくつものフィラメント状の模様や泡のような模様等が観測され、MCESMでは電子の発散角がプラズマの密度勾配に応答することが観測された。過去に行われた、Super-penetrationが起ると電子の発散角度が狭くなるという結果を参考にしながら、PBとMCESMの結果を慎重に解析したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションや数値計算等を用いて効率良くレーザー光を伝搬させるレーザー条件に関して、残留プラズマの影響を考察した。また、今年度は実験を行うための準備期間としていたが、実験機会を確保できたこともあり2年目に予定していた実験を前倒しで行うことができた。結果、レーザー光の伝搬の様子を観測することができた。しかし、それを予測することや効率良く伝搬させるための条件を見いだすところまでは至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までのシミュレーションによる研究では主に、一様な臨界密度プラズマにレーザー光を入射させ、その伝搬の様子を観測していた。結果、このような条件では残留プラズマによる影響と回折の影響により伝搬距離が制限されることがわかった。これらの影響を少なくするためにはレーザー光内のプラズマを素早く排除し、且つ回折を抑制するために充分な密度の背景プラズマを用意する必要がある。今後はこのような背景プラズマを考察することを予定している。また、実験に関しては1年目に得られた結果の解析を行い、次の実験に生かしたいと考えている。
|
Research Products
(4 results)