2012 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度フッ素MRIプローブを応用した遺伝子発現のin vivoイメージング
Project/Area Number |
12J00895
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松下 尚嗣 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ^<19>F MRI / シリカナノ粒子 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
19F MRI(Magnetic Resonance Imaging)は、非侵襲的にバックグラウンドがないin vivoイメージングが可能である。申請者は、希土類金属の常磁性効果を利用して、遺伝子発現を可視化する19F MRIプローブを開発し、生細胞遺伝子発現の19F MRI検出に成功した。しかし19F MRIは感度が低く、in vivoで機能するプローブ開発には高感度化が必須である。一方DDS(Drug Delivery System)研究は、薬物キャリア開発、刺激応答性の薬物放出制御は広く研究されているが、放出後の薬剤動態をin vivoで追跡した研究例は極めて少ない。つまり、薬物放出箇所の同定が難しいという問題を抱えている。この問題を解決する為に、パーフルオロクラウンエーテル内包メソポーラスシリカナノ粒子を設計した。パーフルオロクラウンエーテルは、分子内に20個のフッ素を有している為、非常に高い19F MRI感度を持っている。しかし、その一方で、脂溶性が高く、反応性が低いという理由から機能性19F MRI造影剤として用いられてこなかった。そこで、メソポーラスシリカナノ粒子の内部に内包した。メソポーラスシリカナノ粒子は、分散性が高く、表面化学修飾による機能化が容易である為、パーフルオロクラウンエーテルが抱える問題を同時に解決出来ると期待した。さらに、メソポーラスシリカは、直径2~5nm程度のメソ孔を多数有しているため、薬物が内包可能である。さらに、機能性分子の修飾によって、薬物放出制御が可能である。したがって、パーフルオロクラウンエーテル内包メソポーラスシリカナノ粒子は、高感度に19F MRIで追跡可能な刺激応答性薬物キャリアになると期待される。このナノ粒子は、19F MRIによる分子イメージング研究と、DDS研究を大幅に加速させる強力な分子ツールになることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以下の三つの理由から、当初の計画以上に進展したと考えている。(1)設計粒子の作製に成功したこと(2)膜蛋白質の19F MRI検出は、従来の19F MRI造影剤では不可能であった感度を実現したこと(3)マウス個体内においても、十分検出可能であったこと。
|
Strategy for Future Research Activity |
悪性腫瘍の血管新生の促進に関与するMMPの基質を、シリカナノ粒子に導入する。これにより、動物個体レベルでの癌組織特異的な薬物放出制御法を確立する。具体的には、メソポーラスシリカに、MMPの基質ペプチドと、薬剤の漏出を防ぐキャッピング分子の修飾を行う。MMP活性によって、キャッピング分子が脱離するように分子設計を行うことで、MMP活性によって、内包された薬剤が放出されると期待している。血管新生部位で活発に起こるEPR効果を利用して、腫瘍組織にパーフルオロクラウンエーテル内包メソポーラスシリカナノ粒子を集積させ、MMP活性による抗がん剤の放出実験を行う。この研究によって、in vivoにおけるキャリアによる薬物放出箇所、タイミングなどをリアルタイムで19F MRIで定量解析する薬剤動態イメージングが可能になる。
|
Research Products
(2 results)