2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00941
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
重光 孟 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 外部刺激応答性 / 超分子 / ナノファイバー / パイ共役分子 / 電気伝導性 / 超音波 |
Research Abstract |
本研究は外部刺激応答性超分子ナノファイバーの構築を目的としている。π共役系低分子化合物が自己集合して形成する超分子ナノファイバーは光捕集、発光特性および電荷キャリア輸送能を発現するために有機エレクトロニクス材料としての応用が期待され、活発に研究が行われている。さらに、超分子の特徴である可逆性や外部刺激応答性を利用し、超分子ナノファイバーの物性をコントロールしようとする潮流が生まれている。現状を鑑みると、外部刺激によって超分子ナノファイバーの構築と崩壊を制御した例は数多く報告されているが、ナノファイバーからナノファイバーへの構造転移の例は極めて数が少なく、明確な分子設計は提示されていない。即ち、外部刺激によってナノファイバーの物性制御を行うことは未だ達成困難な状況にある。 当該研究員は超音波を駆動力として電気物性が変調可能な超分子ナノファイバーの作成およびそのメカニズムの解明に成功した。本研究成果によってファイバー状の形態を保ったまま物性変調が可能である超音波応答性超分子ナノファイバーの汎用的な分子設計を明示することができた。それに加えて、得られた超分子ナノファイバーは刺激を加えることで、わずかな分子配列変化が生じ、それに伴って電気物性が劇的に変化することが明らかとなった。本研究によって超分子ナノファイバーのエレクトロニクス材料としての可能性を明確に示すことができた。この成果は超分子化学、材料科学の発展に大きく寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該特別研究員は研究過程において、超音波処理によって電気伝導性が大きく変化する超分子ナノファイバーを発見し、そのメカニズムを明らかにした。刺激応答性超分子ナノファイバーを構築するためには分子に刺激応答性の置換基を導入する手法が一般的であるが、発見した超音波応答性超分子ナノファイバーはそれらを一切有していなかった。本研究は従来研究とはまったく異なるメカニズムによって刺激応答性が達成された例であり、革新的な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は超音波応答性の超分子ナノファイバーを発見し、そのメカニズム解明に成功した。さらに、その結果をもとに超音波応答性超分子ナノファイバーの分子設計を提案した。今後は提案した分子設計の汎用性について実証をするとともに、より劇的に物性変調が可能な超分子ナノファイバーを探索していく。具体的には、金属錯体などに本分子設計を適応して、金属原子の一次元配列の構築と崩壊を達成することで電気伝導性が劇的に変化する超音波応答性超分子ナノファイバーの創製を目指していく。
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Research Products
(8 results)