2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新里 智行 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Ostrovsky方程式 / 時間減衰評価 / 散乱問題 / Almost global |
Research Abstract |
本年度の研究ではOstrovsky方程式と呼ばれる水面波を記述する方程式の一種を考えた。この方程式は負の指数の微分作用素が含まれていることが特徴である。研究目的であるKP方程式も負の指数の微分をもつ空間2次元の方程式である。したがってOstrovsky方程式はKP方程式と類似した構造を持っているが、空間の次元が1次元であるぶん、KP方程式よりも取り扱いやすい。そこで、研究目的であるKP方程式の解の漸近挙動を調べるために、まずはこの方程式の解の漸近的性質を調べた。その結果、以下のような結果を得ることが出来た。 1.非線形項の幕が臨界幕の場合に、解がほとんど時間大域的に存在することを示した。 2.非線形項の幕が優臨界の場合に、解が時間大域的に存在すること、さらに、時間がたつと解が減衰するという評価式を得ることが出来た。 3.非線形項の幕が優臨界の場合に、解が線形の方程式の解に時間無限大で漸近することを示した。 これらの研究の過程で、負の指数の微分が含まれた方程式を考える時、注意しなければならない点が明らかになった。特に、方程式の解を重み付きソボレフ空間で構成する時、負の指数の微分があるためにあまり重みを付けられないことが分かった。この結果はKP方程式を取り扱ううえで重要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究ではOstrovsky方程式の解の漸近的な性質を調べ、いくつかの結果を得ることが出来た。この方程式はKP方程式と類似した構造を持っているので、この研究は研究目的達成に有益であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、まずはOstrovsky方程式の解の漸近的な性質についてさらに詳しく調べる。その後、この研究で得られた手法のいくつかをKP方程式に応用することを考える。
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Research Products
(5 results)