2012 Fiscal Year Annual Research Report
ビーチロックの形成メカニズムに学ぶ新たな人工岩盤の開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12J01036
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
檀上 尭 北海道大学, 大学院・工学院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ビーチロック / 人工岩盤 / 微生物 / 一軸圧縮強さ / セメント物質 / 形成メカニズム |
Research Abstract |
人工岩盤を作製する上で重要な情報であるビーチロックの形成メカニズムを明らかにするため、物性の異なる沖縄県名護市と石川県輪島市めビーチロックを対象に現地調査および室内試験を実施した結果、以下のことが示された。 1.ビーチロックの強度を把握するため、針貫入試験によって一軸圧縮強さq_uを換算した。その結果、沖縄および石川のビーチロックのq_uは、22±8MPaおよび2±0.6MPaであった。 2.ビーチロックのセメント物質を把握すべく、元素・鉱物分析を実施したところ、沖縄のビーチロックはHigh Mg Caleite、石川のビーチロックはAlとSiを主成分とする非晶質がそれぞれのセメント物質であることがわかった。 3.ビーチロック形成への微生物の影響を把握するため、ビーチロック周辺の土壌に対してウレアーゼ活性試験を実施したところ、沖縄の土壌からウレアーゼ活性を有する微生物が見つかった。 4.ビーチロック周辺の海水や湧水に対して水質分析を実施したところ、両地点の海水の各イオン濃度は全海洋平均濃度と類似していたが、石川の湧水は、Al^<3+>の濃度が全海洋平均濃度の5万倍程度も高く、また酸性であった。 以上の1~4の結果より、両地点のビーチロックの形成メカニズムは、次のとおりである。 沖縄のビーチロックは、ウレアーゼ活性を有する微生物の尿素分解反応や海水の蒸発等によってCaCO_3が析出する際に海水からMgを取り込んで、High Mg Calciteとして砂粒子間に析出し、形成されたと考えられる。一方、石川では、Al^<3+>を含んだ酸性の湧水が海水と混合することでA1(OH)3として析出し、その際に湧水や海水中のSiが取り込まれることで、A1とSiを主成分とする非晶質のセメント物質から成るビーチロックが形成されたと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究実施計画」に記載した実験項目すべてに取り組んだ上で、ビーチロック形成に寄与している可能性が高い物性を把握し、両地点それぞれにおけるビーチロックの形成メカニズムを提案することができたことに加え、その新たに得られた知見について論文投稿や学会発表によって成果をあげることができているため、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
沖縄のビーチロックは、国内外の多くのビーチロックと物性の共通点が多いため、人工岩盤の適用先が石川のビーチロックよりも広いと考えられる。そこで、今後は沖縄のビーチロックを人工岩盤の主なモデルとして、ビーチロック形成の促進方法について考え、固化試験を実施することを計画している。
|