2013 Fiscal Year Annual Research Report
ビーチロックの形成メカニズムに学ぶ新たな人工岩盤の開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12J01036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
檀上 尭 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ビーチロック / 人工岩 / 尿素分解菌 / Parathodbacter sp. / 固化試験 / サンゴ砂 / 蒸発試験 |
Research Abstract |
前年度の研究によって、本調査地点(沖縄県名護市済井出)のビーチロックは、尿素分解菌の代謝活動や海水の蒸発作用によって形成されている可能性が示された。そこで本年度は、その形成メカニズムをもとに、現地の尿素分解菌を用いた固化試験と人工海水の蒸発試験を行い、人工岩供試体の作製方法について検討した。その結果、得られた主な成果は以下のとおりである。 1. 現地の尿素分解菌を用いた固化試験 調査弛点のビーチロック周辺で採取した土壌中の尿素分解菌の一つであるPararhodbacter sp.を用いて、サンゴ砂試料(直径2.5cm×高さ7cm程度)の固化試験を行った。すなわち、養生温度や試料に注入する固化溶液(栄養源や尿素、カルシウム源等を含む)の配合等の条件が異なる複数の試料の一軸圧縮強さ(qu)を測定することで、各条件のquへの影響を評価した。 その結果、養生14日後の試料では、養生温度は室温(23±1℃)(qu : 0.5-0.7MPa)よりも30℃(qu : 0.5-1.1MPa)の方がより大きいquとなる傾向が示され、微生物の栄養源はNutrient brothを用いた試料(qu : 1.7-2.1MPa)の方がMarine brothを用いた試料(qu : 1.0-1.5MPa)よりもquが大きかった。また、これらの試料はいずれも試料全体が固化し、そのセメント物質はaragoniteであった。 2. 人工海水の蒸発試験 サンゴ砂試料(幅3cm×奥行1.5cm×高さ3cm程度)の入ったメッシュ状の容器を、人工海水(ケースA)または0.1mol/Lの塩化カルシウムを含んだ人工海水(ケースB)に10分間浸し、その後各溶液から取り出した両ケースの容器を60℃の乾燥炉で1日乾燥させた。この浸漬と乾燥を14日間繰り返した結果、ケースAでは固化が見られなかったが、ケースBでは試料の外周(厚み0.3cm程度)のみ固化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地の微生物による尿素分解作用と海水の蒸発作用を利用して、砂試料を固化することができた。また、両作用の砂試料固化への影響の程度や今後の課題を把握することができたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、人工海水の蒸発試験に比べて、砂試料のより広い範囲を固化する傾向がみられる現地の尿素分解菌を用いた固化試験を中心として、人工岩供試体の作製試験を行うことを計画している。これまで実施していない他の条件(例えば、固化溶液のCaイオン濃度や砂の粒度)の影響についても検討し、よりquの大きい供試体の作製を目指す。
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