2013 Fiscal Year Annual Research Report
水と酸素から過酸化水素を製造する複合光触媒システム
Project/Area Number |
12J01103
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
洪 達超 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1) (90769689)
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Keywords | 水の酸化 / 酵素発生 / ニッケル複合酸化 / 可視光駆動 / 水素発生 / 過酸化水素 |
Research Abstract |
天然の光合成系では、水2分子を酸素1分子へと酸化することで、4電子と4プロトンを取り出しCO_2の還元に利用している。人工的な光合成系を構築するためには、水から電子を取り出すための酸化触媒の開発が重要であり、さらに還元反応と組み合わせ有用な化学物質を製造することが必要である。これまでに、酸性条件下でルテニウム錯体を光増感剤、水酸化イリジウム粒子を水の酸化触媒として用いると、可視光を照射することで、水と酸素から過酸化水素が得られることを見出した。水と酸素から過酸化水素を製造する複合光触媒システムを構築することに成功したが、過酸化水素は一定の濃度に達すると、系中に存在する光増感剤および水の酸化触媒と反応し、水と酸素に分解されてしまうことがわかった。過酸化水素の分解を抑えるために、水の酸化触媒開発にっいて検討を行った。今回、豊富に存在するニッケル鉄およびニッケルマンガンの複合酸化物を触媒に用いた光触媒反応系で、ニッケルおよびマンガン酸化物による複合効果によって効率良く水の酸化が進行したことを見出した。ニッケルマンガン複合酸化物は安価なため、より低コストで過酸化水素を製造することが期待される。また、安価な金属である鉄を使った錯体を用いた水の酸化反応機構についても大きな成果が得られた。鉄錯体を用いた水の酸化反応で、実際に水を酸化する触媒種を明らかにすることは、触媒を設計する上で非常に重要である。酸性水溶液の条件で反応を行う熱的な水の酸化では、鉄錯体が水の酸化を触媒するが、塩基性水溶液の条件で反応を行う光駆動による水の酸化では、鉄錯体が分解して生成した鉄水酸化物が実際に水の酸化を触媒することを明らかにした。さらに、これまでに水の酸化反応で見出した高活性なNiFe_2O_4について、エアロゾルスプレー法を用いてメソポーラスのNiFe_2O_4を調製し、その光触媒水素発生の活性についても調べ、高い結晶化度および大きい表面積を有するメソポーラスのNiFe_2O_4が高い水素発生の活性を示したことがわかった。 これらの成果として、権威ある国際誌に2報受理され、またもう1報は投稿中である。さらに、水の酸化についての総説2報も国際専門誌に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水酸化イリジウムを水の酸化触媒として用いて来たが、これをより安価なニッケル鉄およびニッケルマンガン複合酸化物に代替することが可能になったことは大きな進展である。ニッケル複合酸化物は、水の酸化反応活性において水酸化イリジウムよりも劣るが、反応条件によっては同等なパフォーマンスをすることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
安価なニッケル鉄およびニッケルマンガン複合酸化物は水の酸化に対して高い活性を示すので、水酸化イリジウムの代替として用いた水と酸素から過酸化水素の製造を行う。また、生成した過酸化水素の分解を抑えるために、水の酸化触媒および光増感剤であるルテニウム錯体をメソポーラスシリカアルミナなどの担体に固定することを試み、担体の内孔のサイズが過酸化水素生成の触媒活性に与える影響を調べてその最適化を行う。これと同時に、過酸化水素製造の律速である水の酸化反応についても安価な金属を使用したより活性の高い触媒開発を行う予定である。
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Research Products
(8 results)