2014 Fiscal Year Annual Research Report
注意機構の適応進化と制約 - 鳥類における注意多重化仮説の検討
Project/Area Number |
12J01108
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
兼子 峰明 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 空間的注意 / 選択的注意 / 鳥類 / 比較認知科学 / 心理物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、顔の側方に眼球をもつ鳥類がどのように空間的注意を分布させているかを検討した。鳥類の多くは、一つの眼球内に空間解像度のよい部位が二カ所存在する。前方(両眼視)と左右の外界三カ所を同時に高い解像度で視覚情報を取得することができる。では、このような形態的特徴をもった鳥は、どのように注意を分配するのだろうか。本研究では、実験動物として一般的な鳥類であるハトを対象として、ポスナー(先行手がかり)課題を用いて選択的注意の空間分布を調べた。 このような実験を行うためには、自由行動下の動物の網膜上の任意の位置に視覚刺激を呈示する必要がある。そこでマシンビジョン技術を用いたリアルタイムでハト頭部方向をモニタできる装置を開発した。2台の高速カメラでハトを撮影し、画像処理的にハトの頭部位置とモニタに対する方向を検出する。これにより、ハトを任意の位置、方向で定位することを訓練することができ、網膜座標系で刺激呈示が可能となった。この装置の精度を計測したところ、頭部方向の推定は誤差±4度程度であった。 これに引き続き、先行手がかりGo/NoGO課題をハトに訓練して、視野内の注意の分配を計測した。手がかりと標的の時間間隔(SOA)が50msの条件において、ハトは手がかり刺激による反応抑制効果を示した。霊長類においてはこのような抑制効果はSOAがより長い場合に観察される。これは、ハトの注意の移動が霊長類に比べて非常に高速である可能性を示す。鳥類では、視覚の時間解像度が霊長類に比べて高いことが知られている。高い時間解像度をもつパターン認識と高速な注意の移動を組みわせることで、全体として非常に高速な視覚処理系を備えていることが示唆された。さらに、先行手がかりによる注意の移動は同側視野内に限定しており、反対側には影響がなかった。この結果は、ハトは左右の視野で独立した注意資源をもつ可能性を示す。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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