2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宋 在浩 東京大学, 大気海洋研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 深海微生物 / 圧力 / 脂肪酸 |
Research Abstract |
本研究では、多様な深海微生物株を確保するため、西部北太平洋の航海で得られた海水試料から細菌を分離した。分離方法として、海洋微生物で高い培養効率が知られているHTC(Connon and Giovannoni, 2002)と、寒天培地培養法(組成20% Marine agar2216Eと10% MarineR2A)を用いた。現場温度に従い4℃もしくは10℃で3ヶ月間培養した。増殖が確認された試料は16SrRNA遺伝子の系統解析を行った。HTCで42株が分離され、16SrRNA遺伝子の系統解析によりAlcanivorax属、Eryth-robacter属、Pseudoalteromonas属、Cramella属、Marinobacter属、Sulfitobacter属,Hyphomonas属に近縁であることが確認された。同様に寒天培地培養法によって分離した株はEryth,robacter属、Polaribacter属、Halomonas属、Fseudoalteromonas属、Limnobacter属等であった。そのうち、Shewanella属、Colwellia属、Mortitella属など、好圧力性細菌としてよく知られる一群だけでなくLinmobacter属、Rubritalea属等、これまで浅海からの報告例があったものの、その生態的情報が少ないグループも分離された。さらに多数の株がOMGgroupに入った。 Micrococcus属、Sagittula属、Sphingopyxis属、Loktanella属、Polaribacter属、Marinobacter属、Mortitella属、Sphingomonas属から計8株を選んで加圧培養し、生理学的特徴と増殖可能圧力範囲を調べた。培養はMarineBroth2216E液体培地を用いて、20℃と10MPa加圧もしくは大気圧で二週間培養し、OD660によって増殖を調べた。各株の加圧増殖率比(加圧下増殖率/大気圧増殖率)は0.11、0.19、0.23、0.43、0.50、0.69、0.74、0.82であった。この結果から、Micrococcus属、Sagittula属、Sphingopyxis属は圧力高感受性菌、Loktanella属、Polaribacter属、Marinobacter属、Mortitella属、Sphingomonas属は圧力低感受性菌と判断した。Loktanella属、Sphingopyxis属、Polaribacter属の株を20% Marine Broth2216E液体培地を用い、20℃と10MPa加圧条件で一週間培養して、脂肪酸の変化を調べた。この結果、加圧条件下では大気圧条件と比べてLoktanella属のC16:0(大気圧/加圧;5.7/5.7%)脂肪酸、Sphingopyxis属のC16:0(9.4/17.8)とC18:0(0/9.9%)脂肪酸、Polaribacter属のiso-C13:0(13.9/7,2%)、iso-C15:0(32.6/40.8%)脂肪酸の変化が認められた。大気圧条件でTUF/TSF(total unsaturated fatty acid/total saturated fatty acid)ratioは8.0,16.5,0.14と加圧条件でTUF/TSF ratioは2.6,11.4 0.13であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想した通り、深海からShewanella属,Colwellia属,Pseudomonas属等有名な好圧力性細菌だけでなくLimnobacter属,Rubritalea属等浅海にも生態的情報が少ないグループも分離された。現在、分離したRubritalea属に近縁な株に関し、新属の提案として登録準備中である。分離された株の圧力耐性範囲の調査は50%が完了してある。
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Strategy for Future Research Activity |
深海性の株の増殖特性を調べた株について、低温、低栄養、高圧に移した際の発現遺伝子、さらにこれらの複数の条件を与えた場合に発現する遺伝子群の解析を行い、深海適応に必須の遺伝子群を特定化する。
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Research Products
(1 results)