2012 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害児・者の発達段階に応じた発達課題に関する研究
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12J01149
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奈良 里紗 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 視覚障害 / 教育相談 / 相談ニーズ / 視覚特別支援学校 |
Research Abstract |
本研究では視覚障害児・者の発達段階に応じた発達課題を明らかにすることを最終的な研究目標として実施している。本年度は、16校の視覚特別支援学校から得られた2005年から2009年に実施された教育相談記録1579ケースの分析を行うとともに、学校心理学や教育心理学分野における教育相談や発達課題に関する先行研究について情報収集を行なった。 視覚特別支援学校で行われている教育相談の約8割は、先行研究で指摘されている通り、1.就学相談・2.進路相談・3.転入学相談・4.眼疾相談・5,育児相談・6.学習相談・7.情報提供相談・8.日常生活相談・9.視覚補助具相談・10.アセスメント相談の10個のカテゴリに分類することができる。一方、残りの約2割の相談内容は、1.親からの相談、2.学校関係者からの相談、3.本人からの相談があり、1.親からの相談では視覚障害のある子どもを育てることに対するストレスや不安が多く、特に学齢の低い子どもの親ほど、不安を訴える相談内容は多いことから、早期段階から親の気持ちに寄り添った教育相談が必要であると考えられる。2.学校関係者からの相談では、約9割が支援に関する相談であり、初めて視覚障害児を学校に受け入れるにあたり、環境整備や支援方法について視覚障害の専門家に支援を求めていた。また、残り1割は、通常校に在籍している視覚障害児に対して視覚特別支援学校への転校を促すべきかどうか助言を求める内容であった。3本人からの相談では、中・高校生では対人関係に関する相談、成人では経済的な面に関する相談が多く、特に、成人では視覚特別支援学校だけではなく、福祉や行政との連携の必要性が示唆された。 なお、研究成果については、日本特殊教育学会、日本ロービジョン学会、日本教育心理学会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
相談内容の分析に予想以上に時間がかかっている。また、先行研究から情報収集することに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に分析をした内容について投稿論文をまとめた上で、本研究の目的を達成する上で必要なデータについて検討を行い、調査を実施する予定である。 また、平成26年3月に開催される視覚障害関係の国際学会にて成果を発表することができるよう研究をまとめる予定である。
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