2013 Fiscal Year Annual Research Report
革新的蛍光ラベル化法に基づくタンパク質の高感度イメージングとその創薬研究への応用
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12J01172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平林 和久 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛍光プローブ / pHプローブ / Ca^<2+>プローブ |
Research Abstract |
昨年度は2-COOH TMの詳細な化学平衡式を推定することに成功した。またハロゲン原子の導入により、赤色蛍光プローブの母核として優れた性質を有すると考えられる2-COOH TM誘導体の開発に成功した。赤色蛍光プローブの充実は、他の生理活性物質に対する緑色蛍光プローブと併用したマルチカラーイメージングによって、複数の分子の挙動を同時に解析することが可能となるため、その開発には大きな意義がある 本年度はさらに別の修飾部位への置換基の導入と化学平衡式との相関を調べた。その結果、pH変動に対する吸光度変化の鋭さが、置換基のハメット定数に応じて変化することを見出した。本知見によって、本色素を用いた赤色蛍光プローブを開発する際に、「生理的pH付近でのpHに依存した蛍光変化を小さくすること」、逆に、「小さなpH変化を大きな蛍光変化として捉えること」が可能となる。 次に、得られた知見に基づいて、2-COOH TM誘導体を母核とした新規赤色蛍光Ca^<2+>プローブの開発を行った。Ca^<2+>は細胞内で重要なセカンドメッセンジャーとして様々な生命現象に関与している。そのため、緑色蛍光Ca^<2+>プローブを用いたCa^<2+>イメージングが汎用されている。しかしながら、有用な赤色蛍光Ca^<2+>プローブは依然として開発されていない。実際に2-COOH TM誘導体を母核として開発した赤色蛍光Ca^<2+>プローブはCa^<2+>添加時に約8倍の蛍光上昇を示した。さらに、本プローブをHela細胞に応用したところ、その細胞内局在は細胞質と核であり、現在汎用されている緑色蛍光Ca^<2+>プローブと同様であった。また、ヒスタミン刺激時のCa^<2+>濃度変動を蛍光強度変化として捉えることに成功した。開発した蛍光プローブは今後赤色蛍光Ca^<2+>プローブとしてマルチカラーイメージングに利用されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実地計画に挙げた内容のうち、赤色蛍光Ca^<2+>プローブの開発は期待以上の進展をした一方、ペプチドタグ検出蛍光プローブの開発が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2-COOH TMの性質、誘導体化と化学平衡式との相関が明らかになったため、これら知見を利用してペプチドタグ検出蛍光プローブの開発を行う。
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Research Products
(9 results)