2012 Fiscal Year Annual Research Report
電気インピーダンス法を用いた食品の非破壊評価に関する研究
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12J01232
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安藤 泰雅 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電気インピーダンス法 / 青果物 / 乾燥 / 等価回路 |
Research Abstract |
今年度は乾燥過程における青果物の電気インピーダンス特性の調査を目的とし検討を行った。具体的な内容は以下のとおりである。 【乾燥過程における電気インピーダンス特性の変化】 青果物のサンプルとしてジャガイモの切片を用いその乾燥過程におけるインピーダンス変化を針状電極を用いて測定した。測定周波数は100Hz-10MHz,測定点数は81点とした。その結果,乾燥過程におけるインピーダンス変化は2つの期間,すなわちインピーダンス減少期間(初期含水率-1.0(dry basis)),および増加期間(含水率1.0-0.2)に分かれることが明らかとなった。先行研究と照らし合わせると前者においては熱ストレスおよび乾燥ストレスによる細胞膜の損傷であることが示唆された, 【乾燥過程における青果物の電気的等価回路へのモデル化】 上記のインピーダンス特性の変化に対し,電気的等価回路モデルを用いた解析を行った。生体組織の等価回路モデルとして細胞内液の抵抗,細胞外液の抵抗および細胞膜の容量を考慮したHaydenモデルが提唱されているが,本研究では,モデルへの適合性を高めるためHaydenモデルの細胞膜容量の代替としてCPE(定位相要素)を導入した修正Haydenモデルを適用した。その結果,インピーダンス減少期間においては修正Haydenモデルに対する高い適合性が得られた。乾燥過程における修正Haydenモデルの等価回路パラメータの変化に着目すると,細胞外液抵抗の低下,細胞内液抵抗の増加,細胞膜容量の低下が確認された。これらの変化より,細胞膜の損傷および細胞内液の細胞外への流出が推定された。また,細胞外抵抗と細胞内抵抗の比が細胞膜損傷レベルの指標になりうることを示した。 インピーダンス増加期間ではR(抵抗)およびCPEの並列回路が最も適合性の高い等価回路であった。これはすなわち実験試料の細胞構造が完全に崩壊し,電気的な不均一性を持たない極めて単純な構造に変化していることを示している。この期間ではRの急激な増加および容量の低下が確認されたが,これは含有水分の減少に伴う導電率の低下,および水分の誘電率の低下が主な要因であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初遂行予定であった電極構造の検討および作製,乾燥過程におけるインピーダンス特性と含水率の比較調査,青果物の等価回路の構築を行い計画通りに進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は乾燥過程における電気インピーダンス特性および含水率の変化から,提案手法により細胞膜の損傷度を定量的に把握しうること,ある程度高い含水率であれば青果物の電気的特性は含水率に依存しないことなどを明らかにした。平成25年度はこの特徴を応用し青果物の鮮度評価技術へ適用する予定である。具体的に,数種類の青果物について電極形状の検討,鮮度劣化状態との比較を行う予定である.
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Research Products
(3 results)